困ったこと35~ Asprovaが属人化してしまった
2025.03.12A0 生産管理人手による生産計画の策定は、熟練した人の技術や経験に依存しがちになります。これがいわゆる“属人化”の問題です。頼りになるその人がいなくなったらどうするのか。人手に頼らない生産スケジューラAsprovaは、職人的な手作業を自動化し、属人化を防ぎます。しかし設定や操作が複雑になるにつれて、こちらも一部の熟練者に頼ることになりがちです。ソフトウェアでも属人化の問題があるのです。すると業務が当人以外にはブラックボックスと化し、効率や品質の低下につながります。工場や企業の全体最適化の障害にもなります。この対策として、導入時と運用時に考慮しておくべき事項を示します。

チームでステップ導入、マニュアル整備
Asprovaの導入は、そのインパクトを最大化するためにも、プロジェクトチームを立ち上げ、ステップ導入するのが有効です。難易度が低い部分から始め、次第に難易度が高い分野に拡張していきます。これにより、一人の担当者に依存する必要が減り、経験を共有する機会が増えます。
そして、複数人で運用する体制を構築することが大事です。操作や運用を一人に任せるのではなく、複数の人が対応できるようにすれば、担当者が休暇や出張に出たときにも、別の人間が代わりに操作を続行できます。
そのためには、手順や要領を明確にした書類の整備が必要です。操作マニュアルや設定の解説書など、日常の操作に関する書類を作成しましょう。とくに、よく用いる機能やバグ発生時の対応手順を、わかりやすく文字にしておきます。新規担当者でもしっかりと役目が務まるような環境作りをめざします。
運用マニュアルは、主担当者が一人で作るのではなく、チームで分担して作成します。実際に作業をしながら、気づいた点やコツを書き込んでもらいます。ちょうど製造現場での「作業標準書」を作るのと同じ要領です。
訓練プログラム構築、情報共有も
導入してからも、ソフトウェアを操作できる人材を複数育成するために、訓練プログラムを構築しましょう。Asprovaの基本機能から学び始め、深い知識が必要な分野へ展開していくステップを設計します。アスプローバ社主催の実践トレーニングの受講やナレッジセンターを有効活用しましょう。
相互チェック体制の構築も有効です。チームのメンバー同士で作業を確認し合う機会を設けます。たとえば、Aさんの作業をBさんが観察し、気づいた点を共有する。これは品質管理でいう「相互確認」の考え方を応用したものです。
そして、コミュニケーションと情報共有が、属人化を防ぐために役立ちます。Asprovaのスケジュール結果を見やすい形式で描画し、部署を越えた情報共有を実施しましょう。業務の可視化です。さまざまな経験や要求が交わることにより、属人化を防ぐことができます。Asprovaには、カスタムビューやMy Scheduleという機能があります。これらを活用して、誰もが利用できる環境を構築しましょう。
属人化は、トラブルが発生するまで気づかないこともあります。しかし経営に与える影響は、長期的には大きなものになりかねません。上記のような方策を実施することで、問題を防ぐことができるはずです。
関連するナレッジセンター 困った事35 33-Asprovaに属人化してしまった
(了)

コラム編集部

最新記事 by コラム編集部 (全て見る)
- 困ったこと35~ Asprovaが属人化してしまった - 2025年3月12日
- 納期を守りながら段取り時間を減らす~最適化AI 、S3 - 2025年2月12日
- MPSとMRPの違いとは?活用方法も解説 - 2025年2月7日