製造業にAIは必要?導入するメリットや具体的な事例も徹底解説!

2024.05.08A0 生産管理
製造業にAIは必要

製造業の現場にAIの導入を検討している企業が増えています。AI技術を取り入れることで人手不足や技術継承などの人的な問題を解消することを目的としています。また、各製造ラインのプロセスを自動化することで、生産性の向上と業務効率の課題を解消することが期待できます。では、どのようにAIを導入して活用すればよいのでしょうか。本記事では、製造業のAI導入について、具体的な活用法やメリット・生産スケジューラAsprovaにオプションとしてAIを搭載したSolverを取り入れた事例までご紹介します。

【目次】
■なぜ製造業にAIが必要か
■製造業のAI導入は進んでいるのか
■製造業にどうAIを活用するのか
■AI導入で得られるメリット
■製造業にAsprovaのSolverオプションを取り入れた事例
■製造業にAIを導入するならAsprovaのSolverオプションがおすすめ!

なぜ製造業にAIが必要か

近年、製造業にAIを導入する企業が増えています。少子高齢化の進行で慢性的な労働者不足となっており、新しい人材の育成が進まず困難になっているといった状況のためです。働き手が不足することで、1人ひとりの業務負担が増加する傾向にあります。総務省の統計によると、国内の生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少しており、2050年には5,275万人(2021年から29.2%減)まで減少が見込まれていると公表しています。
参考:総務省|令和4年版 情報通信白書|生産年齢人口の減少

そこで、慢性的な労働者不足を解消する手段として、AIの技術を導入しようとしている企業が増えています。昔から「ものづくり大国」と呼ばれてきた日本は、高い品質と技術力を世界からも高く評価されてきました。時代を支えてきた職人の高齢化が進み、知識や経験を継承していく必要性が出てきていますが、現状として事業の担い手である若い働き手が不足し、技術継承を行いにくいことが課題です。また、競争力を強化し、人手不足が原因によるパフォーマンス低下が起こらないためにもAIを導入することで、業務効率化やプロセスの自動化を計る必要性があると言えます。

製造業のAI導入は進んでいるのか

日本国内のAI導入は、他国に比べると進んでいないのが現状です。AIアクティブ・プレイヤーを国別に見てみると、1位の中国が大きく上回っており、2位以降はアメリカ、フランス、ドイツと続き、日本は先進国の中でも大きく遅れを取っています。2018年に財務省が公表している統計によると、国内のAI・IoT活用状況は、全体ではIoTが23.1%、AIが10.9%の活用率です。また、AIとIoTどちらも、大企業と中堅・中小企業では大企業の方が導入率が上回っており、製造業と非製造業では製造業の方が導入しているという結果が出ています。
参考:総務省|令和元年版 情報通信白書|IoT・AIの導入状況と今後の意向


参考:統計調査データ:通信利用動向調査:報道発表資料

さらに、総務省の最新IoTやAI等のシステム・サービスの導入状況を見てみると、令和4年の調査で「導入している」企業は13.5%、「導入していないが導入予定がある」企業は10.5%となっており、双方を合わせても全体の2割程度の導入状況です。調査の結果から見ても導入率が低いことが分かり、その状況は製造業も同じだと考えられます。AI導入が進まない理由には、以下のような理由が挙げられています。

  • AIを使いこなせる人材が不足している
  • 導入すべきシステムやサービスが分からない
  • コストをかけて導入しても導入後のビジネスモデルが不明瞭である

製造業にどうAIを活用するのか

では、実際に製造業でどのようにAIが活用されるのかについて6つの視点で解説します。

  • 資材発注・在庫管理
  • 生産導線
  • 組み立て作業
  • ピッキング作業
  • 製品の検品・外観検査
  • 設備・機械の点検・保全

1つずつ見ていきましょう。

資材発注・在庫管理

製造業の資材発注・在庫管理を人の手で行うと、多くの人員と時間が必要です。そこで、AIにさまざまな種類のパターンを学習させることで、大量のデータ分析を行い、正確な需要予測ができるようになります。実際に在庫管理にAIを導入すると、リアルタイムで在庫状況を把握して在庫数を予測することが可能です。また、自動で情報を収集し、データ入力・分析まで行うので、業務効率化と生産性の向上が期待できます。

生産導線

製造業にとって生産性を向上させることは、より大きな利益を生み出し、品質を一定に保つことで企業にとっても大きなメリットがあります。業務手順や工程を見直し、無駄な手順を省くことは生産性の向上に効果的です。また、生産導線にAIを導入することで情報の分析を行い、業務効率を上げることができます。よって、経験を豊富に必要とするような難しい生産ラインのスケジューリング最適化もAIの能力で、スムーズかつ一定の基準を保つことが可能です。

組み立て作業

製造業の組み立て作業にも、AIの技術を取り入れることができます。目視確認で全ての部品を使って組み立てられているかどうかを確認するには限界があり、見落としが発生してしまうリスクもあります。このようなヒューマンエラーの起きやすい工程に、AIを導入することが効果的です。具体的には、AIの画像認識を利用し、最終工程の画像を読み込むだけで正常に組み立てられているかどうかを自動で判定するような活用方法があります。

ピッキング作業

ピッキング作業では、素材や商品を指示書通りに取り出して確認と検品を行います。人の手で作業を行うと膨大な時間と労力がかかるため、AIを活用したロボットを使用してピッキング作業を自動化すると、業務改善に効果を発揮します。導入の参考となるロボットは以下の3種類があります。

  • ピースピッキングロボット:在庫コンテナから商品をオーダ別コンテナや集品コンベヤに自動でピッキングするロボット
  • GTP(棚搬送型ロボット):ピッキング作業者のいる場所や棚入れをする場所に直接商品を運んできてくれるロボット
  • AGV(無人搬送ロボット)とAMR(自律走行搬送ロボット):固定のルートに制限されるが無人搬送するロボット(AGV)、マップを元に自動でルート算出して自立走行で搬送するロボット(AMR)

主に、ピッキング作業で発生する商品の運搬と取り出しに関する工程をロボットに任せられるようになります。

製品の検品・外観検査

部品・製品の品質維持をするための検査もAIで行うことができます。目視の外観検査は見落としや誤判定リスクが高くなるため、精度の面が課題です。そこで外観チェックができるAIカメラを導入し、良品・不良品の特徴を学習させて不良品を検出させることで、業務精度の向上が可能となります。また、過去のデータを元にさらに小さな不具合も正確に見極めることができるようになります。

設備・機械の点検・保全

製造業における設備・機械の点検と保全業務は、生産性を維持していくために必要な工程です。未然にトラブルを防ぐための仕組みとして、AIによる点検・保全の導入が進んでいます。機械に設置したAIカメラやセンサーを使用してデータ収集を行い、解析すれば人の目では感知できないような異常もリアルタイムで予知することが可能になります。

AI導入で得られるメリット

AI導入で得られるメリットは、以下の7つが挙げられます。

  • 作業の効率化
  • 技術伝承
  • 安全性の向上
  • 従業員のストレス軽減
  • 品質の均一化
  • 従業員の疲労によるパフォーマンスの低下抑制
  • 人的事故の減少

それぞれを詳しく見ていきましょう。

作業の効率化

AIを導入することで、作業の効率化に大きなメリットがあります。AIは人の力では処理しきれない作業量を同じペースで24時間処理し続けることが可能です。さらに、作業目的に合わせてカスタマイズもできる柔軟性を持ち合わせています。結果として、人の手で行うよりも効率的に作業を行うことができて高い成果が期待できます。

技術伝承

製造業は専門性と技術の高さを要する業務も多く、常に技術伝承を必要としています。慢性的な人手不足で技術伝承が困難である場合も、AIであれば代替できる業務範囲も多く、一度覚えると忘れることはありません。また、人であれば同じ担当者が永遠に業務を行うことは不可能であるところ、AIであれば再現が可能なところもAI導入のメリットです。

安全性の向上

AIを導入して、人の手で行っていた作業工程が自動化されることで、事故防止に繋がり安全性が向上します。人が立ち入ると危険な場所や重機械を扱う場所は、AIが対応すると労働環境も改善されます。特に、ピッキング作業のような倉庫内の長距離移動や重い荷物を扱う場所で安全性を向上できる点がメリットです。

従業員のストレス軽減

作業の効率が悪い環境で働き続けると、従業員はストレスを感じやすくなります。AIを活用した業務の自動化によって作業効率や安全性が向上すると、従業員の業務負担軽減に繋がります。結果としてストレスが軽減し、離職率の低下にも効果的です。

品質の均一化

検品作業を目視確認で行うと、見逃してしまうリスクがあります。検品作業にAIを利用して品質を均一化することで、機械的に不良部分をエラー判定と判断でき、一定の品質を保った商品を生産できるため、品質の保証が可能です。さらに、商品の生産数や納期などのデータを記憶させて、業務が滞らないようにすることで、品質の高い製品を納入できるようになります。

従業員の疲労によるパフォーマンス力の低下抑制

人は働き続けると疲労が蓄積し、次第にパフォーマンスが落ちてしまいます。常に製品を作り続けなければならない製造業は、パフォーマンスが落ちると、結果として生産性が低下してしまいます。AIに作業を切り替えて自動化を行えば、従業員の疲労の軽減とパフォーマンス低下の抑制に繋がるでしょう。

人的事故の減少

製造業は衝突や落下などが起こる危険度の高い作業を行う場合も多く、人的事故に繋がる可能性があります。人的事故が起こりうる場所にAIを導入して、作業を代替すると事故を未然に防ぐことができます。もしくは、作業員の体調の変化を察知するシステムや危険領域に立ち入った場合に、通知が届くシステムの導入などといった方法で人的事故を防ぐことも可能です。

コストの削減

製造業にAIを活用すると数値目標が立てやすくなります。その結果、部品のロスやヒューマンエラーを防いで作業効率が向上し、コストの削減が可能です。また、製造工程の工数を減らすことで人件費の削減にも繋がります。全工程をAIに代替していくことで、作業の中で生まれる過剰生産や廃棄などのコスト削減に大きなメリットがあります。

製造業にAsprovaのSolverオプションを取り入れた事例

生産スケジューラAsprovaではAIを取り組んだSolverオプションを開発しています。実際に製造業でSolverオプションを取り入れることで業務効率が改善した事例を3つ紹介します。

  • 株式会社日本エー・エム・シー
  • アイコクアルファ株式会社
  • エナジーウィズ株式会社

では、1つずつ見てみましょう。

株式会社日本エー・エム・シー

株式会社日本エー・エム・シーは、高圧配管用継手の大手専門メーカーで建設機械、農業機械などで使われる製品を提供している会社です。
「生産計画の予定通りに進まず、納期遅れが常態化していました。生産性向上を目指し、材料・治具の交換回数の削減をAsprovaの標準機能で実現しようと試行錯誤するもうまくいかず、オプションのSolverを導入しました。Solverを使って生産計画を作ってみると、あんなに苦労していた割付が自動的に行われ、毎日2.5時間かかっていた生産計画の作成が2.0時間まで短縮でき、AIを活用した業務効率改善に成功しました。」
参照 :株式会社日本エー・エム・シー 様

アイコクアルファ株式会社

アイコクアルファ株式会社は、精密冷間鍛造で高い技術力を持つ会社です。
「冷間鍛造で高い精度を出すために加工条件を細かく調整する必要があり、Asprova導入後も一部の生産計画は手作業で行っていることが課題でした。そこで、Solverを導入し、作業を自動化することで、生産計画立案の効率化と合わせて、納期遅れゼロと外注割り振り機能も実現することにも成功しました。生産計画を立てる時間が6時間あったところから2時間まで削減し、受注変動により早く細かく対応することができるまで業務効率が改善しました。」
参照 :アイコクアルファ株式会社 様

エナジーウィズ株式会社

エナジーウィズ株式会社は、自動車用バッテリー、産業用鉛蓄電池、電源システムの製造・販売を手がける会社です。 「生産計画を立案したものの、要求事項が複雑なため、一部の詳細計画は手動で立案している状況でした。そこで、自動車用バッテリー生産計画の脱属人化と生産効率の向上を目指し、AsprovaのオプションであるSolverを導入に踏み切りました。結果として手動で計画立案していた頃に比べて、工数を約50%削減できる見込みにまで業務改善に成功しました。」
参照 :エナジーウィズ株式会社 様

製造業にAIを導入するならAsprovaのSolverオプションがおすすめ!

AIの力で生産計画が行えるようになれば、生産性も向上し納期を遅れることなくスムーズに作業が遂行できることが分かります。Asprovaは、製造業のよくある困りごとを解決し、製造現場の生産計画・生産管理の属人化を解消・効率化することで、組織の競争力強化を実現することが可能です。さらに、生産計画の立案は工場運営の次の一手を決める重要な業務です。最適化AI(ヒューリスティックアルゴリズム)Solverオプションを使うことで、限られた時間の中でも評価指標を決めるだけで、高効率な計画を自動で立案できるようになります。「自社に合った開発会社がわからない」「選定にできるだけ時間をかけずにスムーズに導入したい」とお考えのご担当者様はぜひ一度ご検討してみてはいかがでしょうか。

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