生産管理システム導入 メリット・デメリット
2024.02.13A0 生産管理生産管理システムは、製造現場における生産・製造業務を一元管理できるシステムです。本記事では生産管理システムが持つ機能や導入するメリット・デメリット、導入時の流れなどをご紹介します。
【目次】
■生産管理システムとは
■生産管理システムの機能や種類を紹介
■生産管理システムはどのような課題を解決できるもの?
■どのようなメリット・デメリットがあるのか
■生産管理システムの選び方
■生産管理システムの導入手順
■まとめ
生産管理システムとは
生産管理システムとは、製造業における業務全般を管理するシステムのことです。具体的には、製造工程・在庫・納期・コストなど、ものづくりに必要な各種情報を統合的に管理・共有できるシステムを指します。生産管理をはじめ、工程管理や納期管理、在庫管理など各生産工程に関連する業務を効率化することが可能です。
生産管理システムの機能や種類を紹介
生産管理システムには、どのような機能が搭載されているのでしょうか。生産管理機能をはじめとする、各機能を7つご紹介します。
生産管理システムの機能1 生産管理
製造業における生産プロセスを効率的に管理し、生産計画を立案するための機能です。この機能を用いることで、どの製品をいつ、どの程度のコストで生産するかを計画し、納期と品質を確保することが可能となります。生産管理システムは、生産スケジュールの策定や製造プロセスの最適化、資材の適切な配置など、生産活動全般を管理するためのツールです。生産計画やリソースの最適活用において重要な役割を果たします。
生産管理システムの機能2 販売管理
見積もりや受注、出荷、売り上げ、在庫といった販売業務全般を管理できる機能です。 この機能を活用することで、受注から出荷、請求までのプロセスを一元管理し、受注漏れなどのヒューマンエラーを最小限に抑えることができます。販売管理業務は生産管理と密接に連携し、生産計画と販売管理を一元化することで、効率的かつスムーズな業務運営が可能となります。
生産管理システムの機能3 購買管理
製品を製造するための材料・部品を仕入れたり、各種支払いを管理したりする機能です。購入したものの入出庫記録や在庫管理なども、購買管理機能で行います。必要な材料や部品の数量を細かく把握しておかなければ、現場の生産性に悪影響が及びます。販売管理と同じく、生産管理と深い関係のある業務であるため、生産管理システムで一元管理することが理想的です。
生産管理システムの機能4 工程管理
製品の製造が計画どおりに行われているか否かの進捗状況を、工程ごとに確認できる機能です。また、工程の手順を決めたり、人員や設備などのリソースを踏まえたうえで実際の工程計画を立てたりする際にも役立ちます。また、工程ごとの品質をチェックできます。
生産管理システムの機能5 在庫管理
完成した製品に加え、製造中の製品の在庫を管理する機能です。また、製品の材料や部品などの在庫も管理できます。各種在庫を適切に管理することは、生産性の向上につながります。加えて、企業内の資産(=在庫)を正しく管理でき、キャッシュフローの最適化にもつながるのが利点です。
生産管理システムの機能6 原価管理
製品を製造する際の製造原価を算出したり、実際原価と標準原価を比較したりする機能です。生産工程に関する原価を算出し、コスト改善を図れる機能だと考えると良いでしょう。材料の仕入れ価格や在庫情報などから、最新の原価をリアルタイムに算出できます。
生産管理システムの機能7 品質管理
「製品の品質が基準値を満たしているか」をチェックする機能です。製品別・工程別・部署別など様々な観点から不具合を検査したり、事前に定められた規格に沿って検査を実施したりといった作業を行う機能です。また、不良品が発生した際は不具合の原因を特定・追究できる点も特徴です。均一な品質を保つのに役立つ機能です。
これらの機能のほか、需要予測や受注予測機能を備えた生産管理システムもあります。
生産管理システムはどのような課題を解決できるもの?
生産管理システムを導入することで、どのような課題を解消できるのでしょうか。以下では生産管理システムの導入事例を交えて、生産管理システムの活用シーンや解決できる課題の例をご紹介します。
どのようなメリット・デメリットがあるのか
生産管理システムを導入することで得られるメリット、導入前に抑えておくべきデメリットを解説します。
生産管理システムを導入するメリット
メリットの例として挙げられるのは、以下の6つです。
- 生産性の向上
- 生産負荷の平準化
- 不良率の改善
- 生産過不足の改善
- 生産計画の精度向上
- 生産現場の改善
生産性の向上
生産管理システムでは、生産計画や人員計画の立案、各種在庫や購買データをまとめて管理をできることが特徴です。「材料が足りない」「人員を急遽補わなくてはならない」などのトラブルを事前に防止でき、煩雑な生産管理業務が効率化されます。これにより、生産性の向上および納期の短縮が期待できます。
生産負荷の平準化
生産工程が増加したり複雑化したりすると、工程ごとにかかる負荷の把握が難しくなります。そうなると、生産負荷の偏りが発生してトラブルにつながりかねません。生産管理システムを導入することで部署・生産拠点間の情報共有がスムーズになり、工程ごとの負荷が可視化されます。これにより、生産負荷の平準化を進めやすくなるでしょう。
不良率の改善
生産管理システムを導入することで、製品の不良率や不具合を検知しやすくなります。不良率の発生頻度や発生要因なども正確に把握できるようになり、品質改善にも役立てられるでしょう。個人の知識や経験に依存していた、不具合への対応ノウハウも収集しやすくなります。
生産過不足の改善
現場の生産能力と製品の需要を上手く掴めず、生産の過不足が発生している企業も少なくありません。生産管理システムがあれば、生産状況や在庫状態を可視化できます。これにより、生産不足や過剰生産などのトラブル防止につながります。適正在庫や適正生産量を維持できることで、キャッシュフローの健全化、生産不足による機会損失の防止にも役立ちます。
生産計画の精度向上
生産管理システムの販売管理機能や在庫管理機能、受注予測機能などを活用することで、より精度の高い生産計画を立案することが可能です。例えば、受注データと在庫データを照らし合わせたり、過去の生産実績を参照したりすることで、様々なパターンの生産計画を立てられます。
生産現場の改善
生産管理システムを導入することで、生産ラインの情報をリアルタイムに収集・分析できます。収集した情報から、改善が必要な工程がすぐに見つけられるのもポイント。これらの機能を活かせれば、現場環境の改善や運営の効率化にも役立ちます。
生産管理システムを導入するデメリット
生産管理システムを慎重に選ばないと、予想以上にコストがかかることがあります。システムの導入費やランニングコストに加え、場合によっては導入に伴うコンサルティング費用やカスタマイズ費用などが必要です。費用対効果の試算は、事前にしっかりとしておく必要があるでしょう。
生産管理システムの選び方
生産管理システムの選び方を、以下で5つピックアップしました。
必要な機能が搭載されているか
生産管理システムには、生産管理機能をはじめ販売管理機能や購買管理機能、工程管理機能など様々な機能が搭載されています。まずは、自社が必要とする機能が搭載されているか否かをチェックしましょう。多機能な生産管理システムは魅力的に映りますが、機能に優先順位をつけることが大切です。
自社に合った費用体系か
生産管理システムの費用体系は、製品や提供形態によって異なります。ゼロからシステムを開発する「フルスクラッチ」形式の場合、費用が数千万円規模に上ることも少なくありません。一方、インターネットを経由してサービスを使用する「クラウド型」の場合は、初期費用が無料または低額、ランニングコストが月額数千円~数万円と設定されているケースが多くあります。機能に着目することも重要ですが、費用体系と提供形態にも注目しましょう。
サポート体制は充実しているか
生産管理システムの種類や機能によっては、使いこなすまでに時間がかかるケースもあるでしょう。そんなとき、導入支援や運用支援などのサポートを受けられると心強いものです。「電話・チャットツール・オンラインなどサポートチャネルは豊富か」「夜間・早朝・休日のサポート体制はどのようなものか」といった点を事前にチェックしておくと良いでしょう。
無料体験版があるか
生産管理システムは、オフィスや現場で毎日使うものです。操作性やUI(ユーザーインターフェース)が悪いと操作にストレスを感じ、システム利用が思うように定着しない可能性があるため注意が必要です。無料体験版があれば、システムの操作性やUIの見やすさなどを事前にチェックできます。
連携できる基幹システムはあるか
会計システムや販売管理システムなど、他の基幹システムと連携できる生産管理システムもあります。基幹システムと連携させることで、生産業務だけでなく経営や資産管理など様々な分野で活用できるシステムになるのが魅力です。「自社ですでに使用している基幹システムと連携可能か」「連携予定の基幹システムとの互換性はあるか」といった点を事前に確認しましょう。
生産管理システムの導入手順
生産管理システムの検討から導入までのステップを、簡潔にまとめました。製品や現場の規模にもよりますが、一般的な導入の流れは以下のとおりです。
- 現状の課題分析
- 必要な機能や提供形態の検討
- 製品の選択
- 導入/運用
現状の課題分析
「自社の製造現場にはどのような課題があるのか」「課題をどのように解決すべきか」といった点を洗い出す段階です。現場の業務フローや、既存のシステムの機能などを棚卸しすると課題点が見つかりやすくなります。課題点を洗い出したら、システム化すべき工程や項目などを決定します。
必要な機能や提供形態の検討
洗い出した課題点に対し、「どのような機能が必要か」「どのような提供形態(フルスクラッチ型・クラウド型・パッケージ型)の製品が適切か」などの点を検討します。また、以下のポイントに注意することも大切です。
- 解決すべき課題の優先順位を決める
- 自社の生産形態や生産ロットと照らし合わせる
課題が多くあってもすべてを一度に解決することは難しいため、解決すべき課題の優先順位を決めましょう。また、自社の生産形態や生産ロットに合わせて検討することも重要です。例えば、大量生産を行う企業であれば、生産工程を効率化できるような機能を備えた製品が適しています。また、少量多品種生産を行う企業であれば、柔軟にカスタマイズできる製品が適しています。
製品の選択
生産管理システムの製品を選ぶフェーズです。無料体験版を通して機能や操作性をチェックしたり、現場で使えるようになるまでの期間を比較したりして、製品を選びましょう。
導入/運用
実際にシステムを導入・運用するフェーズです。実際の業務環境で適切に稼働するか否かをチェックしましょう。このとき、いきなり大きな業務範囲でシステムを使うと思わぬトラブルが発生する可能性があります。部分的な範囲や限られた業務環境に導入し、徐々に使用範囲を広げていくと良いでしょう。
まとめ
生産管理システムは、生産計画の立案をはじめ販売管理や購買管理など様々な生産関連業務を助けてくれるシステムです。活用することで、納期の短縮、適切な在庫管理、品質向上などの恩恵が受けられます。本記事でご紹介した生産管理システムのメリットやデメリット、選定のポイントなどを参考にしたうえで、自社に合う生産管理システムを探してみてください。
生産管理システムには、生産計画を立案する機能も搭載されています。ただし、より細やかな生産計画を立てるためには生産管理システムだけでなく生産スケジューラもおすすめです。
生産スケジューラを取り扱うアスプローバの以下のサイトでは、各種導入事例を掲載中です。生産スケジューラ導入によって、具体的にどのような業務改善が実現したのか、こちらのページをご確認ください。
コラム編集部
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