QC7つ道具の使い方をわかりやすく解説!新QC7つ道具との違いも紹介
2024.08.01A0 生産管理「業務改善のために活用できる品質管理の手法はないか」「QC7つ道具で業務改善できるのだろうか」と悩んでいる製造現場の担当者や管理責任者の方は、多いでしょう。QC7つ道具は、製造現場で発生する品質の問題を数値データから分析し、解決策を見出すのに適しています。この記事では、QC7つ道具と新QC7つ道具の特徴や違いを詳しく解説します。それぞれの手法に含まれる7つの具体的なツールの使い方を紹介するので、自社の業務改善に適した手法を見つけることができるでしょう。ぜひ品質管理の手法を選ぶ際の参考にしてください。
【目次】
■QC7つ道具とは
■新QC7つ道具とは
■QC7つ道具・新QC7つ道具の違い
■おわりに
QC7つ道具とは
QC7つ道具は、品質管理に用いられる代表的な手法で、以下の7つから構成されます。
- グラフ
- ヒストグラム
- パレート図
- 特性要因図
- 散布図
- 管理図
- チェックシート
これらの手法を適切に活用することで、品質管理における問題の発見や原因の特定、改善策の立案などを効果的に進められます。それぞれの特徴を理解し、目的に合わせて適切な道具を選択することが大切です。
グラフ
グラフは、2つ以上のデータの関係性を可視化するために使用します。傾向を知る、経時変化を知る、割合の大小を比較するなど、様々な目的で活用可能です。品質管理によく使われるグラフには、以下のようなものが挙げられます。
- 折れ線グラフ
- 棒グラフ
- 円グラフ
- 帯グラフ
- レーダーチャート
使用する際は、分析したいデータに合わせたグラフの種類を選ぶことがポイントです。たとえば、全体に対する割合を示すには円グラフ、経時変化を示すには折れ線グラフが適しています。
ヒストグラム
ヒストグラムは、連続する数値をいくつかに区切った際、区切ったそれぞれのグループがどう分布しているかを表したグラフです。データのばらつきや平均、偏りを視覚的に把握できるため、ある製品の特性を特定したり、どの客層によく購入されているのかを分析したりするのに役立ちます。使用する際は、ヒストグラムの中のデータが一山になっているとは限らないことに注意しましょう。内部のデータを層別することができないか分析することが重要です。
パレート図
パレート図は、現象を項目別に分類し、棒グラフと折れ線グラフで表した図です。問題の重要度や全体に及ぼす影響、改善により期待できる効果などが把握できます。また、ABC分析にも向いています。使用する際は、集計する項目により重要度が変化することがあるため注意が必要です。また、費用や技術などの制約で、重要度が大きいことがわかっても改善できない場合があることにも留意しましょう。
特性要因図
特性要因図は、結果と要因を矢印で結んで整理して示した図です。ある事象の要因と、特性と要因の因果関係を可視化できます。使用する際は、管理用か解析用かを明確にして特性要因図を作成することがポイントです。また、要因と特性の間の因果関係の有無を慎重に見極めることも重要です。
散布図
散布図は、生産量と作業時間など2つの対になるデータを縦軸と横軸にとり、該当箇所に点を打って分布を表現した図です。使用する際は、散布図では相関関係の有無はわかりますが、因果関係が示されるわけではないことに注意が必要です。また、散布図を使うことであたかも意味のある関係性に見えてしまう「疑似相関」が見つかることもあるため、より正確な相関関係を掴むためには慎重になる必要があります。
管理図
管理図は、工程における品質のバラツキを分析・管理するための折れ線グラフで、「中心線」「上方管理限界線」「下方管理限界線」の3つの要素で構成されます。
- 中心線:理想的な値
- 上方管理限界線:それ以上は上回ってはいけないライン
- 下方管理限界線:それ以上は下回ってはいけないライン
あらかじめ収集したデータを使って管理図を作成することで、工程の安定性を確認できます。使用する際は、データの種類による使い分けが重要です。計量値ではXbar-R管理図やX-Rs管理図、不良数や欠点数などの計数値ではp管理図、c管理図などを使い分けます。
チェックシート
チェックシートは、確認する要点を整理した図表形式のシートです。いつ・誰が・何を実行したのかなど、日々の作業の実態を正確に把握できます。またチェックシートの形式を変えることで、日々の作業が適切に実施されているかの確認もできるのです。使用する際、手書きの場合は記入欄を大きめにし、デザインに注意することがポイントです。スマホやPCやタブレット端末などを使う場合は、誤操作や入力ミスに気をつけましょう。
新QC7つ道具とは
新QC7つ道具は、主に言語データを分析するのに役立つ以下の7つのツールを指します。
- 親和図法
- 連関図法
- 系統図法
- マトリックス図法
- マトリックスデータ解析法
- アローダイアグラム法
- PDPC法
言語データを扱えるため、製造現場以外の、設計、企画、販売などでも活用できます。それぞれの特徴と使用する際のポイントを見ていきましょう。
親和図法
親和図法は、様々な内容を示す言語データを親和性に基づいてグループ分けし、整理する手法です。似たもの同士をまとめることで問題の全体像や構造を明らかにします。また複雑な問題や漠然とした事象を明確にし、共通認識とすることにより、解決への道筋を見つけられるでしょう。使用する際は、問題に関するデータを集め、そこから1つひとつの問題点を具体的に記した言語カードを作ることになります。ブレーンストーミングと併用し、できる限り具体的な情報を多く出すことが重要です。
連関図法
連関図法は、原因と結果が絡み合って理解しづらい問題に対し、両者の関係を矢印で結んで関係性を視覚化する手法で、原因に対する結果が整理され、因果関係や相互関係がわかりやすくなります。連関図法は、根本原因の特定には至らないものの、複雑な問題の全体像を把握し、次のステップへの指針を得るのに適しています。そのため使用する際は、すぐに解決できる原因を見つけることよりも、問題の全体像を把握し、次の課題解決への糸口を見出すことに重点を置いて分析を進めることが大切です。連関図法で抽出された課題を起点として、さらに深く分析を進めていくことで、根本原因に近づくことができるでしょう。ブレーンストーミングや親和図法と併用することでより精度を高めることができます。
系統図法
系統図法は、目的を達成するための手段を系統づけて展開し、問題を解決するための最適な方策や指針を探ります。要素を分解して掘り下げていく「構成要素展開型」と、方策を展開していく「方策展開型」があります。また、問題や課題の解決の方策を整理したり、解決策に抜け漏れがないかを確認したりすることも可能です。使用する際は、目的達成のための手段を一度に細かく分けてしまうと、途中の段階で必要な手段が抜け落ちている可能性があるため注意が必要です。段階的に手段を分けていくことで、抜け漏れのない解決策を導き出せるでしょう。
マトリックス図法
マトリックス図法は、検討する2つの要素を行と列に配置し、交点に相互の関連の度合いを表示します。基本のL型マトリックスのほかに、T型、Y型、X型、C型、P型などがあります。マトリックス図法を使うことで、各要素間の関係を整理したり、二次元的に全体を見渡して問題解決の着眼点を探したりといったことが可能です。使用する際は、評価基準を客観的にして、作成者の主観にとらわれすぎないことがポイントです。
マトリックスデータ解析法
マトリックスデータ解析法は、マトリックス図だけではわからない詳細を示すときに用います。マトリックス型に配列されたデータを相関分析などで処理し、二次元平面図に表わして、問題と要因との関係を示します。マトリックスデータ解析法を使用することで、得られたデータの分布や相関関係を視覚的に把握できます。また、関連性の高い変数を組み合わせて新たな指標を作り、そこから新たな情報を引き出すことも可能です。煩雑な計算となるため、使用する際は専用のソフトやExcelを使うほうがミスや手間が少ないでしょう。
アローダイアグラム法
アローダイアグラム法は、計画を進めるのに必要な作業の順序を矢印と結合点で結び、各作業の関係や日程のつながりを整理します。スケジュール管理や時間短縮の検討に役立ちます。アローダイアグラム法では、ガントチャートでは表現が難しいタスク間の依存関係や先行関係を明確に示せますが、全体的な進捗状況の把握には適していません。そのため、使用する際は、全体の進捗状況を視覚的に表現できるガントチャートと組み合わせることをおすすめします。両者を併用することで、タスク間の関係と全体の進捗状況の両方を考慮した、より精度の高い日程計画を作成できるでしょう。
PDPC法
PDPC法は、あらかじめ不測の事態を想定し、計画に対応策を織り込んで問題解決のための工程を作成する手法です。過程決定計画図とも呼ばれます。PDPC法を用いることで、不測の事態における代替案を可視化できます。これにより、どのようにして目標達成に至ろうとしているのかという作成者の意図を掴むことができるのです。使用する際は、「逐次展開型と」「共生連結型」の2パターンがあるため、目的によって使い分けます。「逐次展開型」は、不測事態発生に対して都度対策を考え、計画を修正していくパターンです。「共生連結型」は、起こり得る不測事態を想定し、その対応策を計画に織り込んで作成するパターンです。PDPC法を適切に活用することで、不測の事態に備えた柔軟な計画を立てることができ、目標達成への道筋がより明確になるでしょう。
QC7つ道具・新QC7つ道具の違い
QC7つ道具と新QC7つ道具の最大の違いは、用いるデータにあります。QC7つ道具と新QC7つ道具の違いは、以下のとおりです。
項目 | QC7つ道具 | 新QC7つ道具 |
---|---|---|
扱うデータ | 数値データ(長さ、重さ、不具合率など) | 言語データ(情報共有の問題、作業のやりづらさなど) |
主な活用場所 | 製造現場 | 製造現場以外(営業、企画、小売業、飲食業など) |
評価の客観性 | 数値を扱うため、客観的な評価に適している | 数値化が難しいデータを扱うため、主観的な内容になりがち |
活用できる業種 | 製造業が中心で、活用できる業種が限られる | 幅広い業種の業務改善に役立てられる |
課題の明確化 | 数値データから課題を明確にできる | 数値化が難しい漠然とした課題を明確にできる |
QC7つ道具では数値データを扱うのに対し、新QC7つ道具では言語データを扱います。数値データとは、長さや重さ、不具合率など数値化できるデータのことです。一方、言語データとは、「部門間の情報共有が円滑ではない」「組立作業がやりづらい」など数値化できないデータのことを指します。数値データを扱うQC7つ道具は主に製造現場で活用されますが、新QC7つ道具は製造現場以外の営業や企画、小売業、飲食業などでも用いられることが多いのが特徴です。QC7つ道具は数値を扱うため客観的な評価を下すのに向いていますが、活用できる業種が限られているため、各種サービス業や介護業などの現場改善には不向きといえるでしょう。対して、新QC7つ道具は数値化が難しい漠然とした課題を明確にでき、幅広い業種の業務改善に役立てられます。ただし、数値データと比べると主観的な内容になりがちであるため、慎重に議論をする必要があります。このように、QC7つ道具と新QC7つ道具はそれぞれ扱うデータの種類が異なり、適した業種や課題も異なります。両者の特徴を理解し、目的に合わせて適切な手法を選択することが重要です。
おわりに
QC7つ道具と新QC7つ道具は、品質管理や問題解決のために用いられる代表的な手法です。QC7つ道具は、グラフ、ヒストグラム、パレート図、特性要因図、散布図、管理図、チェックシートの7つから構成され、主に数値データを扱います。製造現場での品質管理や問題解決に適しており、客観的な評価を下すのに向いています。一方、新QC7つ道具は、親和図法、連関図法、系統図法、マトリックス図法、マトリックスデータ解析法、アローダイアグラム法、PDPC法の7つから構成され、主に言語データを扱います。製造現場以外の営業や企画、サービス業などでも活用され、数値化が難しい漠然とした課題を明確にできます。
両者は適した業種や課題も異なるため、目的に合わせて適切な手法を選択することが重要です。QC7つ道具と新QC7つ道具を適切に使いこなすことで、品質管理や問題解決を効果的に進められるでしょう。
さらに、生産スケジューラを活用することで、これらの手法によって特定された改善点を迅速かつ効果的に生産計画に反映させることができます。生産スケジューラは、リソースの最適化やスケジュール管理を自動化し、全体の生産効率を向上させる強力なツールです。品質管理と問題解決に加え、生産計画の最適化を図ることで、企業全体の生産性と競争力を一層高めることが可能です。
コラム編集部
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