歩留まりとは?歩留まりの重要性、計算方法と改善方法を徹底解説!

2024.07.17A0 生産管理
歩留まりとは

「歩留まり」という言葉を聞いたことはありますか?歩留まりとは、貴重な時間や資源を無駄にせず、生産性・効率性を高めることで、利益率を上げるための重要な指標です。この記事を読めば、歩留まりの重要性や改善の方法が分かります。歩留まり率を改善し、業務の質を高め、成長し続けられる企業を目指しましょう。

【目次】
■歩留の基本情報
■歩留まりの重要性
■歩留まり率の計算方法
■歩留まり率の改善方法
■生産スケジューラと歩留まり率の関係性

歩留の基本情報

歩留とは、製造・生産業において、原材料から得られるであろう想定生産量に対する製品出荷量の比率を示す指標です。「歩留」は「歩留まり」や「イールドレート」とも呼ばれ、食品加工業や飲食業などのさまざまな職種でも使われます。製造業では、「投入した原材料から得られた生産量に対する完成品の割合」という意味で活用され、生産性・効率性を高め、利益率につなげるための重要な指標です。ここでは、歩留まりという用語の使い方と重要性について解説します。

歩留まりという用語はどう使う?

歩留まりは製造業をはじめ、さまざまな業種で採用されている指標ですが、どのように使われているのでしょうか。歩留まりの「歩」は歩合、「留まり」はたまるを意味しており、完成品がたまる割合、つまり投入した原材料から得られた生産量に対する完成品の割合を表した数値です。たとえば、「歩留まりが低い・高い」「歩留まり率を出す」などと使用されます。以下の表に具体的な使用例をまとめました。

使用例 意味
歩留まりが低く利益が出ていない 不良品が多くて利益を出せていない
歩留まり率が10%も上がった 原材料に対する不良品の割合が10%も下がった
1万円の商品を製造するのに材料費が9,000円もかかり、歩留まりが低い 1万円の商品を製造するのに材料費が9,000円もかかり、割に合わない

歩留まりとは簡単に言えば、不良品ではない、良品の割合です。歩留まりの意味と使い方を理解すれば、業務効率の改善や生産性の向上にもつながり、企業の利益率や競争力の向上に役立ちます。以下で、もう少し詳しく説明します。

歩留まり率の基準

歩留まり率は、高い・低いで示され、一般的には、高い方が良く、低い方が悪いと考えられています。歩留まり率が高ければ、生産性が良い状態です。逆に歩留まり率が低ければ、利益率が悪いので、改善の検討が必要になるでしょう。

歩留まり率が高い=不良品が少ない

歩留まり率が高いとは、生産した数に対する不良品の数が少ないことを表し、一般的には良いこととされています。歩留まり率が100%であれば、不良品がなく、全て出荷可能な完成品です。不良品率が低いほど、資源や原材料の無駄がなく、生産性や効率性の良さにつながります。歩留まり率を上げることは、コスト削減、品質の向上や信頼性・利益率の向上、さらに環境への負荷軽減にもつながります。そのため、歩留まりは企業の持続可能性や競争力に関わる重要な指標です。

歩留まり率が低い=不良品が多い

歩留まり率が低ければ、不良品が多く発生していて、出荷可能な完成品が少ないことを示しています。つまり、作業効率の低下や作業プロセス、品質管理などに問題がある可能性が高いです。製品の品質や信頼性が低下し、企業の評価も下がりかねないので、何らかの対策を講じる必要があります。業界の平均歩留まりに達していない場合や特定のプロセスだけが著しく低い場合は、改善の必要性が高いと言えます。不良品の手直しや廃棄にかかるコストと歩留まり率の改善にかかるコストを考慮し、最適な改善策を検討しましょう。

歩留まりの重要性

歩留まりは、「投入した原材料から得られた生産量に対する完成品の割合」を示し、生産性・効率性を高め、利益率につなげるための重要な指標です。歩留まり率が低い場合には、不良品の手直しや廃棄、原材料の調達・保管のコストも発生するでしょう。そのため、利益率の悪化だけではなく、現場や環境にかかる負担も増加し、企業の価格競争力の低下を招く可能性があります。企業の競争力を高めて、成長し続けるためには、安定した高い歩留まり率の維持が重要な課題です。安定した歩留まり率が維持できれば、高品質の製品を顧客に提供でき、顧客満足度だけでなく従業員満足度も高められます。さらには、企業の競争力の維持や持続可能な成長につながります。生産段階の課題や異変などをいち早く発見・改善するためにも、歩留まりを適切かつ継続的に観察しましょう。

歩留まり率の計算方法

製造業における歩留まり率とは、投入した原材料から得られた生産量に対する完成品の割合を指します。完成品の中でも、手直しすることなく良品となった割合を「直行率」、最終的に良品となった割合を「良品率」という指標で表します。ちなみに、良品とは、定められた仕様や規格に沿った正確な製品のことです。歩留まり率の計算方法は、「歩留まり率(%)=100ー(ロス率)」です。また、「歩留まり率(%) =良品数÷生産数×100」で計算することもあります。たとえば、次のような場合の歩留まり率を計算してみましょう。1000個の生産数に対し800個の良品を生産した場合の歩留まり率は、「(800÷1000)×100=80%」と計算できます。良品数が不明な場合は、「歩留まり率(%) =(生産数-不良品数)÷生産数×100」でも求められます。まずは、自社のプロセスごとの歩留まり率を計算し、業界の平均歩留まり率に達しているか、著しく低いプロセスがないかを確認してみましょう。

歩留まり率の改善方法

自社の歩留まり率が業界の平均より低かった場合や特定のプロセスだけが著しく低かった場合は、原因を調査し、何らかの改善を行う必要があります。歩留まり率を改善することで、企業の利益率や競争力のさらなる向上が見込めるでしょう。ここでは、歩留まり率が低い原因の調査方法と歩留まり率の改善方法をご紹介します。ぜひ、自社の歩留まり率が低い原因を見つけ、改善に役立ててください。

不良品の発生状況を適切に記録・集計する

歩留まり率が低い場合、作業工程全体に問題があるわけではなく、特定のプロセスで問題が起きていることが多いです。そのため、プロセスごとの不良品率を記録・集計して可視化することで、原因の特定につながります。まずは、どのプロセスで歩留まり率が下がっているかの確認が必要です。

5M+1Eを用いた原因調査

歩留まり率が低い原因は、作業者の知識不足や機械設備の老朽化、原材料の不良など多種多様です。そこで、不良品の発生原因を大きく6つに分類した「5M+1E」という考え方を利用しましょう。「5M+1E」とは、それぞれの頭文字である5つのMと1つのEの要素に着目して、原因を調査する方法です。

  • Man:人(作業者の知識不足や技術不足、ヒューマンエラーなど)
  • Machine:機械・設備(機械の不良や故障、設備の劣化や老朽化など)
  • Method:方法(設計ミス、生産プロセスやマニュアルの不備など)
  • Material:原料と材料(仕入れ先の変更、原材料の不良やバラつきなど)
  • Measurement:測定・検査(測定方法や検査方法の不備など)
  • Environment:環境(温度や湿度などの環境条件、従業員の作業環境など)

歩留まり率が下がっているプロセスが特定されたら、5M+1Eを用いてどの要素が原因となっているかを追求して、改善していきましょう。以下で、改善方法について、解説していきます。

改善方法の策定

「5M+1E」を使って歩留まり率が下がっている原因が判明したら、改善方法の検討が必要です。それぞれの要素の具体的な改善方法をご紹介します。原因が「Man:人」の場合は、作業者の能力のバラつきが大きな要素なので、誰が作業をしても同じ結果が出るように細かく丁寧なルールの制定と適切な教育プログラムの導入、ヒューマンエラーが発生しにくい作業システムの設計などが必要です。機械を使用した作業であっても、人の手が加わる以上、作業の精度を高めるためのルールを決めましょう。原因が「Machine:機械・設備」の場合は、機械などの精度に問題があります。この場合には、定期的なメンテナンスや最新設備の導入を検討しましょう。原因が「Method:方法」の場合は、生産プロセスの改善や明確化、マニュアルの見直しが必要です。効率が良く、作業者が実施しやすい方法を見つけましょう。原因が「Material:原料と材料」であれば、品質管理の体制を強化・刷新し、品質の一貫性を保つ必要があります。場合によっては、原料の代替品を検討する必要もあります。原因が「Measurement:測定・検査」の場合は、測定機器の管理の徹底や、AIやIoTなどのITツールを導入し、検査システムの自動化を検討しましょう。測定条件や測定方法を一定にし、測定精度を上げることが重要です。「Environment:環境」が原因の場合は、環境条件の適切な管理、従業員の作業環境の改善が必要です。

生産スケジューラと歩留まり率の関係性

生産スケジューラとは、生産プロセスを効率的に計画し、調整するためのツールです。生産スケジューラが適切に機能すれば、人間では対応が難しい処理にも対応ができるので、効率的な設備の利用や最適なリソースの利用が可能になります。また、歩留まり率とは、投入した原材料から得られた生産量に対する完成品の割合です。簡単に言えば、不良品の少なさを表す指標です。生産スケジューラを利用し、現場の状況を可視化することで、効率的な設備の利用やリソースの最適な利用が可能です。さらに、特定のプロセスでの欠陥の発生や不良品の発生の抑制にもつながります。つまり、歩留まり率を高める効果が期待できるでしょう。生産スケジューラと歩留まり率は、密接に関連しています。では、以下で詳しく説明しましょう。

生産効率向上=歩留まり率向上

生産率の向上は、歩留まり率の向上につながっています。生産スケジューラとは、人材や設備などの1つのリソースに適切な作業を割り当てるシステムであり、生産プロセスを効率的に計画し、調整するためのツールです。生産スケジューラによる適切なスケジューリングにより、機械や設備の適切な利用、材料の正確な供給などが可能になります。その結果、材料の正確な供給や設備の適切な利用ができるようになり、製品の欠陥率の低下が期待できます。製品の欠陥率の低下は、不良品率の低下を指すので、結果として歩留まり率の向上につながるでしょう。

資材や原材料の調達効率化

生産スケジューラを活用することで、資材や原材料の消費量とそのタイミングを的確に計画できます。これにより、効率的な調達が可能となり、材料の過剰や不足といった調達の問題を防止できます。また、適切な資材や原材料の供給によって、生産プロセスの安定性を確保し、歩留まり率の向上にもつながります。

製造・生産業においての歩留まりとは、「投入した原材料から得られた生産量に対する完成品の割合」という意味で活用され、生産性・効率性を高めて利益率につなげるための重要な指標です。歩留まり率が低ければ、目標達成のために多くの原材料が必要となり、利益率が悪化します。また、不良品の手直しや廃棄などのため、現場や環境への負担も大きくなってしまいます。歩留まりの適切かつ継続的な観察による、生産段階の課題や異変などの発見、そして素早い改善が求められます。まずは、歩留まり率の計算と業界の平均歩留まり率との比較をしましょう。自社の歩留まり率が業界の平均よりも低かった場合や特定のプロセスだけが著しく低かった場合は、原因の調査と改善が必要です。

歩留まり率が低い原因の調査で一般的なのが、5M+1Eを用いた方法です。Man:人 ・ Machine:機械・設備 ・ Method:方法 ・ Material:原料と材料 ・ Measurement:測定・検査 ・ Environment:環境の6要素から原因を見つけ出しましょう。歩留まり率の改善で重要なのは、適切な材料の供給と設備の利用です。そのためには、生産スケジューラで生産計画を管理・立案すると効果的です。現在は、AIやIoTなどのITツールを導入し、歩留まり率の改善を目指す事例も増加傾向にあります。IoTを効果的に活用すれば、さまざまなデータの収集や分析ができます。そのため、機械や設備の不具合を早い段階で発見・補修でき、故障による不良品の抑制につながります。また、AIを用いた画像解析やVRを活用したトレーニングなども歩留まり率の改善に有効です。歩留まり率を改善することで、競合他社を上回る競争力を獲得し、持続可能な企業の成長を目指しましょう。生産スケジューラに興味がある方は、ぜひこちらのページもご確認ください。

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