フォワードスケジューリングとバックワードスケジューリングとは?
2023.01.11A1:生産計画・スケジューリング生産スケジューラにおいてスケジューリング方法は2通りあります。「フォワードスケジューリング」と「バックワードスケジューリング」です。
顧客からのオーダーを計画する時には、一般的に両者を駆使することになります。今回のコラムでは生産スケジューラを理解するうえで欠かせない、フォワードとバックワードの違いについて解説します。
フォワードスケジューリングとは
フォワードスケジューリングは、生産を開始する日を最初に決めて、第1工程から順番に計画を立てていく方法です。開始日を起点にできるだけ前の方に予定を詰めていくイメージです。
製造リードタイムが、第1工程=1日、第2工程=2日、第3工程=1日の製品があったとします。フォワードスケジューリングで計画した場合には、開始日=N日から順番に各工程を割り付けていき、終了日がN+3日だと分かります。
このスケジューリング方法の利点は、第1工程の開始日をなるべく早くできることです。資源に遊びや待ち時間が発生しないように計画するため、稼働率も高くなる傾向にあります。
その反面、納期に対して必要以上に早く生産に着手してしまうことも考えられます。資源に空きがあるからといって、常に前詰めでスケジューリングすれば納期よりずいぶんと前に製品が完成し、長期間、在庫化する恐れがあるのです。
バックワードスケジューリングとは
一方のバックワードスケジューリングは、終了日を最初に決めて、最終工程から時間軸をさかのぼって計画を立てていく方法です。
先述の具体例をもとにすると、終了日=N日を起点に、第3工程から順番にさかのぼって予定を立てていきます。したがって開始日はN-3日です。
バックワードスケジューリングは、できるだけ納期に近いタイミングに終了日を設定します。そのため、在庫を極力持たずに納期を守れるのです。在庫削減の観点から言えば、すべてのオーダーをバックワードで計画したいものですが、生産現場で何らかのトラブルが発生すると納期に遅れる可能性が高くなります。
フォワードとバックワードを織り交ぜたスケジューリング
両者とも相手にはない利点を持っていますが、フォワードとバックワードを織り交ぜたスケジューリングもできます。
そのスケジューリングでカギとなるのが、「ボトルネック工程」を見つけることです。ボトルネック工程とは、各工程の中で最も負荷率が高い、あるいは作業時間が長い工程です。「工程全体の生産量はボトルネック工程によって決められる」と言われる通り、その前後の工程でいくら作業を早めても、ボトルネック工程以上の数は生産できません。
たとえば製品1個あたりの作業時間がA工程=2分、B工程=5分、C工程3分だとすれば、全体の生産量はB工程で決まります。仮にA工程で1時間に30個生産しても、B工程では12個しか生産できず、工程間には仕掛在庫が滞留。後工程のC工程では、部品が流れて来ずに待ち時間も発生します。
仕掛在庫を過剰にさせず、なおかつモノの流れをスムーズにするにはどうすればよいでしょうか。その場合にはボトルネック工程と前後の工程を同期しなければなりませんが、フォワードとバックワードを織り交ぜたスケジューリングが有効です。
つまり、ボトルネック工程の前工程はバックワードに割り付け、後工程はフォワードに割り付けます。これにより、前工程では早く着手しすぎないために仕掛在庫が減り、後工程ではスムーズにモノが流れるようになります。
生産数を均一にさせるスケジューリングも
フォワードスケジューリングとバックワードスケジューリングは生産スケジューラの基本的なロジックです。一概にどちらが良いとは言えず、顧客のさまざまな要望に応えるため、現実にはフォワードとバックワードを臨機応変に使い分けていきます。
ただ、両者を駆使した方法が必ずしも生産スケジューリングを最適化できるわけではありません。工場によっては日々の生産数を均一にさせたいという課題もあるでしょう。実は、スケジューリング方法には「平準化」と呼ばれる方法がまだ残されています。次回のコラムでは、フォワードやバックワードにはない利点を持つ、平準化について解説したいと思います。
(了)
コラム編集部
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