可動率(べきどうりつ)とは?稼働率との違いや生産計画で可動率を上げる方法

2023.06.13A1:生産計画・スケジューリング

「可動率」と「稼働率」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?両方とも「かどうりつ」と読めますよね。しかし、可動率の方は「べきどうりつ」と読みます。なんだかややこしいですね。

「稼働率」と「可動率」はともに生産設備の管理指標ですが、この二つは似ているようで異なる意味を持ちます。

稼働率とは

稼働率は「標準の操業時間に対しての、製造時間の割合」のことです。製造時間とは、段取り替えや調整時間、故障で止まっていた時間などを抜いた、製造設備が稼働している正味の時間のことです。式に表すと以下のようになります。

  稼働率(%)=製造時間÷標準の操業時間×100

具体例として、標準の操業時間が8時間だったとします。この時に製造時間が6時間だとすれば6÷8×100%で、稼働率は75%です。

もし定時までに終わらない量のオーダーを入れると、残業で対応することになるため製造時間が長くなり、稼働率は100%を超えることになります。

可動率とは

可動率は「メイクスパンに対しての、製造時間の割合」のことです。メイクスパンとは、生産スケジューラでいうところの作業開始から作業終了までの時間です。作業のリードタイムとも言います。具体的な計算式にすると以下のようになります。

  可動率(%)=製造時間÷メイクスパン×100

段取り替えや材料待ち、金型待ちなどの理由によりメイクスパンが6時間、その内の製造時間が3時間だった場合、3÷6時間×100%で可動率は50%となります。

可動率は運転効率を表す指標のため、100%に近づける努力が必要です。

生産スケジューラにおける稼働率と可動率の違い

稼働率と可動率は一見すると似ていますが、生産スケジューラで両者をどう区別できるでしょうか。

標準の操業時間はマスタにある工場やラインの稼働が可能な時間、メイクスパンはガントチャート上での作業の開始日時と終了日時から確認できます。製造時間はメイクスパンから段取り替えや待ち時間を差し引くと求められます。

段取り替えが一切ないと仮定した場合、稼働率(37.5%)は変わりませんが、可動率は(50%→100%)になります(メイクスパンが6時間→3時間)。

生産計画ができる可動率を100%に近づける方法

生産計画で可動率を上げる方法は「段取り替えや設備の待ち時間の最小化」です。段取り替えにかかる時間と回数、もしくは生産設備の待ち時間を少なくできれば可動率を上げることができます。

しかし、射出成形機やプレス機のように金型を使用する工場では、金型交換に多くの時間がかかったり、金型が1つにしかないために待ち時間が発生したりします。

そのような課題に対して、AsprovaのオプションであるSolverでは数百万通りの中から最も効率の良い計画を自動で導き出すことができます。Solverを活用すれば、金型の段取り回数と待ち時間の最小化に課題があった生産計画を最適化できるのです。


(了)


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