歯車製造など金属加工における生産スケジューラ活用方法
2022.09.28A1:生産計画・スケジューリング歯車製造では、同じ品目を繰り返し作り続けるのではなく、オーダごとに形状や素材など仕様が異なる場合があります。
手作業や表計算ソフトなどによる計画立案では、ボトルネックとなっている工程の特定や、計画の変更に対応することが難しく、効率よく生産することが困難なことがあります。
本記事では、歯車の製造など、金属の加工における生産スケジューラの活用方法をご紹介します。
歯車製造における課題
下記に、金属加工のひとつである歯車製造を例に挙げ、製造工程や生産計画に関する課題を記載いたします。
受注ごとに異なる工程の管理
歯車の形状は用途や目的によってさまざまな形状で受注・オーダーが入ります。そのため、受注ごとに異なる工程を管理する必要があります。
ボトルネックとなる工程が異なる
受注ごとに異なる工程が必要となるため、負荷が集中する工程や、ボトルネックとなる工程が異なります。
余裕を持った納期を立案したことによる機会損失の発生
いつ、どの工程でトラブルが発生するかが分からないため、受注前に営業担当は余裕を持った納期をお客様に提示します。
しかし、納期を長く設定しすぎると受注が他社に流れてしまい、機会損失となる可能性が高くなります。
生産スケジューラを使用した、金属加工のスケジューリング
こちらでは、金属加工における生産スケジューラの活用方法をご紹介します。
1. マスタ登録
生産スケジューラを使用して、金属加工をスムーズに行うためには、事前に「マスタ登録」を行う必要があります。
「マスタ登録」とは、実現可能な工程や、製造能力といった情報を生産スケジューラ内に登録することを指し、その他には部品構成、生産工程、製造時間、作業者なども含まれます。
2. ボトルネックの特定
マスタ登録を設定した後、実際に生産計画を行い、待ち時間や負荷などの項目に基づいて、ボトルネックを特定します。
登録していたマスタの情報が誤っていた場合は、この段階で修正を加えます。
3. 熱処理工程のスケジューリング
金属加工における熱処理工程には、下記のような制約が設けられていることがあります。
- 同時に投入して同時に取り出す
- 同じ条件の作業のみをまとめる
- 中断を許さない
熱処理におけるスケジューリングも生産スケジューラを使用することで、上記の条件を考慮した上で、手作業よりも正確かつ簡単に計画立案することができます。
4. 作業員のスケジューリング
金属加工において、作業員は研削工程などで高度な加工技術が必要です。そのため、作業員の人数や能力、稼働時間を加味したスケジューリングを行います。
5. 実績の反映とオーダーの追加
製造実績を生産スケジューラに反映することで、生産計画に対する遅れなど、進捗を加味することができます。
日々、顧客からの受注やオーダーが追加されても実績が反映された生産スケジューラがあれば、作業の見える化による適切な対処や、正確な納期回答が可能です。
マスタを登録する際には、最初から完璧なものを求めず、ズレや間違いがあれば都度変更を加え、徐々に完成させることが重要です。
金属加工の際も生産スケジューラを使用しよう
歯車のように、受注ごとに形状が異なる金属加工の現場でも生産スケジューラを使用することで、作業負荷の分散やボトルネックとなる工程の特定などを行うことができるようになります。
また、受注ごとに工程や条件が異なっても、実績を加味したスケジューリングを行うことで適切な納期返答を行うことができるため、機会損失の可能性を下げることが期待できます。
おわりに
本記事では、金属加工における生産スケジューラの活用方法をご紹介しました。
金属加工には、「受注ごとに異なる工程の管理」「ボトルネックとなる工程が異なる」「余裕を持った納期を立案したことによる機会損失の発生」といった課題があります。
生産スケジューラに登録するマスタには、初めから完璧なものを求めるのではなく、運用していくうえで改善を加えていくことがコツです。
金属加工でも生産スケジューラを有効活用し、効率が良い生産活動を行いましょう。
コラム編集部
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