お客さまの要望から生まれたAsprova新機能 「マーカー」 ガントチャートを見やすく

2024.03.27A1:生産計画・スケジューリング

 アスプローバ社は、生産スケジューラAsprovaの新バージョン17.5で、いくつかの新機能を搭載しました。このうちガントチャートを見やすくする「マーカー」について、開発を担当したエンジニアの李彤(り・とう)さんに話してもらいました。

導入支援会議がきっかけに

 きっかけは、ある重電企業を対象としたAsprova導入支援の会議でした。この会社は非常に大きい機器を製作しており、生産に長い時間がかかります。1つのオーダでも数か月にわたることがあります。その間には、いろんなイベントがあります。例をあげると、納期、出荷日、出図日 (予定、実績)、デザインレビュー開催日、デザインレビュー議事録発行日、部門間出荷日などです。これらは外部のシステムから取り込む情報ですが、「日程をガントチャート上で、グラフィカルに見たい」という要望をいただきました。

 アスプローバ社は、お客さまに導入をしているパートナーを強力に支援する方針です。この会社は、最終ユーザーでもあり、同じ企業グループの中にパートナーもいるという特殊なケースでした。そうしたことから、定期的に会議を開き、要望を聞いたり、導入中の問題を解決したりする場としています。今回の要望も導入支援の会議で出てきたのです。

 別のお客さまからも、よく似た声を聞いていましたので、それではやってみようと、着手しました。最近の私たちのスタンスは、お客さまのニーズを知り、要望を満たすことができる最小限の機能を素早く開発して、試行(PoC)を重ねます。いきなり汎用化を狙うことはせず、小さく着手するのです。

14種類・4色で開始 さらに拡張も

 その結果、14種類*4色のマーカーで、このお客さまの要望を満たせることが分かりました。当初はオーダガントチャートだけで試作品を試したのですが、お客さまから「この機能を作業ガントチャートでも使いたい」との意見をもらい、そちらにも適用することにしました。

 UI(ユーザー・インターフェイス)系の機能なので、プログラムだけでなく、デザインも重要です。専門のデザイナーにお願いし、ユーザーにどういうイベントを表示したいかを聞いて、各イベントの意味に近いマーカー(たとえば船舶、トラック、台車、レビューなど)を作りました。開発過程でとくに難航することはありませんでしたが、やりとりに時間をかけたので、着手から完成まで、数カ月かかりました。

 ユーザーは、表示したいマーカーの種類、日時、コメントを設定できます。オーダガントチャート上でマーカーを表示してイベントを示すことができます。イベントの意味に近いマーカーを選択できます。また、作業に対しても同じやり方でマーカーをつけられます。 手動で設定するだけでなく、外部システムから情報をインポートして、簡単にガントチャート上で表示することもできます。

 機能開発が終わったあと、ちょうどユーザー会が開かれました。席上、参加者のみなさまに対してデモをしました。多くの方が興味を持ってくれ、とても好評でした。リリースした際には、ユーザーさんから「期待通りに実装してもらってうれしい」との声をいただきました。

 お客さまからアイデアをいただき、それにこたえられたことが私たちの喜びです。今後はさらにお客さまの声に耳を傾けながら、資源ガントチャートに対応させたり、マーカーの種類を増やしたり、さまざまな拡張を考えていきます。


(了)


技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps