複数工場・工程に生産スケジューラを導入するときのポイントとは?

2024.01.10A3:生産スケジューリングの悩み相談

複数の工場・工程があると、それぞれの工場・工程でモノづくり環境や特性が異なるため、計画立案業務が標準化されている事例は稀です。しかし、Excelによるバケツリレー型の業務では、情報が分断されていたり、計画策定に要するリードタイムが長くなったり、基準がなく客観的に判断できず、環境変化に柔軟に対応することが困難です。
総所要コストも考慮すると、計画立案業務の標準化し共通のシステム基盤を構築できれば良いですが、さて、どのように進めたらよいのでしょうか。

パイロット導入の重要性と成功のポイント

これまでに、この難題にチャレンジされたユーザ様では、

本格的に複数の工場・工程に導入する前に、システムの理解を深めたり、問題点を把握しておくために「パイロット導入」が採用されています。このパイロット導入の主な目的は以下です。

1.機能のテストと検証
システムや製品が期待どおりに動作するかどうかを実際の環境で確認します。
これにより、潜在的な問題や不具合を事前に発見し、修正できます。

2.ユーザーのフィードバックの収集
実際のユーザーが製品やシステムを使用することで、彼らのフィードバックを収集しやすくなります。
これにより、ユーザーのニーズや要望に応じて調整を行うことができます。

3.リスクの最小化
本格的な導入前に問題を発見し、修正することで、本番環境でのリスクを最小化します。
これにより、予期せぬトラブルやシステムのダウンタイムを減少させることができます。

4.トレーニングの機会提供
パイロット導入は、関係者やエンドユーザーに対してトレーニングの機会を提供します。
これにより、本番環境でのスムーズな運用が期待できます。

パイロット導入対象の選定と段階的展開の戦略

 では、複数の工場・工程がある中で、パイロット導入を実施する対象はどのように決めたらよいでしょうか。これには幾つかのアプローチがあります。

1.トップダウン型
生産規模の大きい工場、供給量を決めてしまっているようなボトルネック工程、など、
経営課題に直結している工場・工程を対象にします。

2.システム化難易度型
制約条件が少なく導入がしやすそうな工場・工程を対象にします。パイロット導入を早期に終えられ、ノウハウを早く獲得できます。

逆に、制約条件が多く導入が難しそうな工場・工程を対象にし、標準システムになり得るかポテンシャルを見極めるアプローチもあります。

3.ボトムアップ型
新しいシステムの導入や新しいやり方に変えていくことは、時に現場に大きなストレスがかかります。そのため、現状業務のやり方を変えたい意思を強く持っている工場・部署を対象にします。

パイロット導入の成功を確認した後、フィードバックを取り入れ調整と改善を行いながら、段階的に他の工場・工程にシステムを展開します。これらの方針に沿うことで、複数の工場・工程にわたるシステム導入をよりスムーズに進められるかもしれません。

実際に日本、タイ、中国の複数拠点で生産スケジューラを活用されている事例がこちら(日本特殊陶業株式会社 様)になります。


(了)


技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps