困ったこと35~大日程計画・中日程計画・小日程計画…どこから始めたらいいのか迷った

2024.01.10A3:生産スケジューリングの悩み相談

 アスプローバ社では、生産スケジューラAsprova導入時の困りごとについて、情報提供をしております。今回は「計画の種類が多すぎ!」という問題についてです。

 生産計画には、中長期の計画から短期計画、あるいは、ある工程の製造実施計画まで、さまざまな計画が存在します。

 大日程の目的は年間の製品計画などで、1年くらいにわたります。中日程の目的は、中期的な購買計画や1次納期回答などで、数ヶ月程度です。小日程の目的は、作業指示や納期回答など1週間程度の計画である場合が多いでしょう。

 生産スケジューラAsprovaは本来、小日程計画のツールです。ただ後述するように、中日程計画や、さらに先を見た計画に利用することもできます。

小日程と中日程の違い

 小日程計画は、確定および内示の受注オーダに基づいた工程単位の計画となります。作業順番を考慮し、生産効率を追求した計画となります。

 一方、中日程計画は、需要変動を考慮して、ある程度余裕を持たせた計画で納期回答をすることになります。受注は確定していないので、正式なマスタがなく、品種ごとの仮マスタで計画する場合もあります。

 Asprova(AsprovaAPS)では、確定および内示の受注オーダを優先的に計画するなど、計画パラメータを複数設定することで、受注種別に応じた計画ロジックを設定できます。中日程計画と小日程計画の整合性が問題となることがありますが、Asprovaでは、1か月を小日程計画、2か月以降を中日程計画として、ひとつの計画としてとりまとめることができます。これにより整合性を取ることができます。

 小日程計画から中日程計画(生産準備)へ発展させる場合、インプットするオーダを3〜6カ月分用意します。サプライヤへの内示、長納期原料の購買発注、人員計画、設備負荷計画、外注計画などを行います。1〜2年の長期間のオーダをインプットできれば、大日程計画も可能です。それで、設備投資計画など経営計画に応用できます。

 大日程計画は、受注も明確でなく具体的な製品も想定できない中では、主に予算計画と定義されるでしょう。その場合、マスタもないと思いますので、生産スケジューラのような工程単位の詳細計画までは必要ないはずです。従って、大日程計画は生産管理やExcelなどの計画でも可能です。

組立計画の進め方

 中日程、小日程という言葉を使わず、「組立計画」という言葉を用いる場合もあります。

 組立工程の部材手配に絞って、中日程に相当する計画から始めたニデックアドバンスドモータ(旧日本電産サーボ)様では、5か月分の部材手配の精度を高めることで、計画達成度が40%から90%に向上して予定通りに生産できるようになったそうです。計画精度が高まったことで在庫の把握が正確になり、結果として在庫削減を実現しています。

 半年程度の中日程計画は、品目、設備ごとの標準時間や段取りなど、詳細な計画条件が必要ないので、かえって取り組みやすい点もあります。

 アスプローバ事例記事 ニデックアドバンスドモータ(旧日本電産サーボ)様

加工計画の進め方

 「加工計画」という言葉を使う場合もあります。

 自動車のシートを生産する富士シート様では、プレス工程の小日程に相当する計画から始めました。ここの生産計画は、在庫量と残り生産量、金型のコンディション、プレス機の稼働状態を見極めて、最適な組み合わせを求めるパズルのようになっています。これを自動化することで、タイムリーな計画を実現し、ミスを削減できたそうです。

 小日程計画は詳細な生産条件を設定するので、マスタ整備に時間がかかりますが、導入効果は高い傾向があります。従って、この事例のように、初工程のうちの1工程の計画から始め、効果を確認しながら徐々に後工程に展開する方法がいいと思います。

 アスプローバ事例記事 富士シート様

簡単なものからやる

 計画の進め方についてまとめてみます。機能から考えずに、自社の課題から必要なシステムを検討するといいと思います。また、大は小を兼ねるということで、一番難しい課題から取り組むことも多いのですが、賛成できかねます。

 システムに慣れる意味でも、簡単な、取り組みやすい課題から徐々に難易度を上げることがシステム導入の成功の秘訣となるでしょう。以下アリアケジャパン様の事例をあげています。取り組みやすい課題から段階的に導入して成功しました。

 アスプローバ事例記事 アリアケジャパン様

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(了)


技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps