困ったこと35~想定していた結果が出なかった

2024.03.15A3:生産スケジューリングの悩み相談

 生産スケジューラを導入する際、期待していた結果が得られないという経験は、多くの人が感じることです。この問題には大まかに2つのパターンがあります。 1つは、どうみても異常な結果になっていて、用意されたデータなどが間違っているとしか思えない場合です。もう1つは、理想的な結果が頭の中にあるのだけれど、Asprovaの結果がそれとは違うという場合です。ひとつずつ対策を考えていきましょう。

1.明らかに想定外の結果が出てきた

 明らかに想定外の結果が出力されるケースもありえます。異常な結果が得られた場合は、基本的な設定条件を確認することが必要です。

 稼働カレンダーやシフト時間、製造オーダの納期や数量、生産能力値の単位、製造工程のつながり、ロットサイズの変動などが正しく設定されているか確認しましょう。業種特有の設定や特殊な工程の場合は、ナレッジセンターや実践トレーニングを参考にすると効果的です。

 ただし、製造現場は外部環境や内部環境の変化に対応する必要があるため、どんなに細かい設定を行っても予想通りの結果が得られるとは限りません。このようなギャップに備えて、事前に予想外の結果が出た際のアジャスト戦略を検討することも重要です。

2.事前の理想に沿わない結果だった

 こちらの場合、理想的な計画が頭に描けているにもかかわらず、実際のスケジュールがそれに沿わないという状態です。この問題に対処するためには、まずマスタデータを入念に見直す必要があります。工程の分類方法、設備や金型、治具の情報、能力値の正確性など、さまざまな要素を検証し、目標と現状を比較することが重要です。

 スケジュール結果は計画パラメタの設定で大きく変わります。現実に近いボリュームの製造オーダを実際に割り付け、期待通りの結果が得られない場合は、計画パラメタの設定を再評価しましょう。

 Asprovaのオプション機能である「Solver」を用いるという手もあります。Solverは、想定する結果からの乖離を「ペナルティ」として、そのペナルティが最も小さくなる計画結果を反復処理によって探索します。たとえば、想定した結果より納期遅れが多いとか、もっと段取りを少なくできるはず、ということであれば、それらをペナルティにして実行すると、想定している結果に近い計画を探索してくれます。

 困ったとき、行き詰まったときには、ナレッジセンターや販売パートナーへの相談も有益です。計画パラメタの微調整や戦略の見直しを行うことで、生産スケジューラの導入をより効果的に進めることができます。

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(了)


技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps