困ったこと35~マスタのメンテナンスが難しかった

2024.06.17A3:生産スケジューリングの悩み相談

 生産スケジューラAsprovaで計画を立てるために必要なデータを、マスタデータ(略してマスタ)といいます。製品、工程、設備、人員、原材料など多くのデータがあります。データをそろえ、入力が終わり、マスタ構築が完了したとします。ただスケジューラを使い続けていくためには、マスタのメンテナンスを行わなくてはなりません。今回はそんな困りごとについて、解決の糸口を紹介します。

大事な手入れ、肥大化に注意

 マスタデータは、企業活動のあらゆる場面に登場します。データがうまく管理されていないと、生産性の向上を阻みます。たとえば顧客の登録名で、英字の全角と半角が統一されていなかったりするだけでも、作業が滞ります。初期の登録だけでなく、継続して管理する際、基準や手順をしっかり定めておき、すべての関係者に周知徹底させることが大切です。できるだけわかりやすく、シンプルな形にするのがいいでしょう。

 さて生産スケジューラで、マスタのメンテナンスを考えてみます。マスタに手を入れることが求められるのは、品番や資源(ものを作る機械など)の追加・削除、スケジュール結果と実際の乖離を防ぐ――などの場合です。メンテナンスを疎かにしていると、やがて計画精度が悪くなり、結局使われないシステムになってしまいます。

 気をつけたいことの1つは、マスタの肥大化です。製造する品種は、時がたつにつれて増えるのが一般的です。いつのまにかシステムが重くなってしまうことがあります。Asprovaはこれに対する解決法を持っています。式を活用する方法で、詳しくはナレッジセンターをご覧いただければと思いますが、こういった機能も活用するのも一案です。

 他のシステムとの連携についてはどうでしょう。品目、資源、品目構成、設備制約、能力値などの情報は、生産計画を立てる以前に、工場運営にあたって必須な情報であり、基幹システムや生産管理システムで管理されているでしょう。一部はExcelに保持しているものもあるかもしれません。Asprovaではこういった外部のデータベースやテキストデータをインポートできるようになっています。

生産管理システムとの不一致が生じたら…

 もし、生産管理システムなどで管理している能力値の更新サイクルと、生産スケジューラを使って生産計画を立てるサイクルに不一致がある場合、スケジュール結果と実際の製造時間とが乖離してしまいます。そのままでは現場で信用されなくなるかもしれません。

 更新サイクルの不一致を解消することが大事です。ただすぐにそれができない場合、生産スケジューラ上でマスタの調整する方法がいくつかありますので、その機能を活用して、計画やり直しをするケースもあります。

 マスタの管理の観点からは、シンプルな形が好ましいのです。精度を追求して詳細な情報を入力すると、それを継続してメンテナンスしなければならない苦しみが待っているかもしれません。担当者が替わっても、管理は続けなくてはなりません。まれにしか発生しない事象などは、本当にマスタ化するのか、再考した方がいいと思います。

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(了)


技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps