困ったこと35~ 不良品、故障、オーダ急変…イレギュラーケースへの対応は

2024.11.06A3:生産スケジューリングの悩み相談

 製造業の現場は、いつも順調にことが運ぶわけではなく、不意のトラブルに見舞われることもあります。そんな時、生産計画はどのように対応すればいいのでしょうか。いくつかの場合に分けて、対策を考えてみました。

オーダ急変

 「大変大変、オーダが変わったよ!」 外部環境があまり変化せず、サプライチェーンネットワークも大きく変わらなかった頃は、数量増加、納期前倒し、製品変更などオーダの急変はイレギュラーなできごとでした。しかし今日、オーダ急変は、日常的に起きると考えた方がよさそうです。

 そんな時どうするか。直近の計画のみを対象として運用している場合は、生産スケジューラで再計画を行い、生産順序を組み替えて納期遵守や納期調整を行うことができます。ただ見込み生産と受注生産では対応が異なります。

 見込み生産品の場合は、まず在庫を確認しましょう。オーダ変更により、安全在庫を切っていなければ問題ありません。安全在庫を下回っているとしても、マイナスにならなければ、急いで対策することはありません。スケジューラ上では、未来の生産完了予定が見られます。それで在庫がマイナスになるようであれば、何らかの対策を打ちます。  

 受注生産の場合は、オーダガントチャートでオーダを見ます。納期に余裕があるかどうか調べます。生産の進捗もオーダガントチャートで確認し、その変更に無理があるかないかを判断します。受注数や工程が変わることの影響を知りたい場合は、その場でAsprova上のオーダを変更/追加してリスケジュールして、結果を見ます

 一方、直近にとどまらず、もっと先の計画も視野に入れている場合はどうでしょう。早い段階でオーダ急変を察知すれば、生産能力の増減や取引先への発注予定の変更など、幅広いオペレーションが可能になります。

不良品や故障

 「不良品が出た」「機械が故障した」。そんな時は、自動化の対象外として、人間が対処することを考えます。生産スケジューラ=生産計画立案の自動化と認識されることが多いのですが、まれにしか発生しない事象を自動化するのは困難です。

 不良品の対処方法としてリワーク(製品を回収し、修理して良品化する作業)を行っている場合、過去の実績情報に基づいてリワーク用の負荷を考慮したシフトを組む、リワークのリードタイムを考慮したバッファ時間を加味した計画を立てる–などの対処をします。

 故障に対しては、復旧見込みまでの間、非稼動の状態にして再計画を行うなどの対策があります。故障はないに越したことはありません。あらかじめ定期的にメンテナンスを行う計画を立て、故障の発生を防止しましょう。

 オーダ急変、不良品、故障の他にも、イレギュラーな事象は多くあります。ナレッジセンターの記事などを参考にしてください。

 関連するナレッジセンター 困った事35 20 不良品、故障、オーダ急変などイレギュラーケースにどう対応してよいかわからなかった


(了)


技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps