困ったこと35~ 重箱の隅をつつくような問題にこだわり過ぎる人に困った

2025.01.22A3:生産スケジューリングの悩み相談

 重箱の隅をつつくようなことにこだわる人への対処は、プロジェクト管理においてよく見られる課題です。組織の中にはいろいろな人がいます。完璧主義の人、承認欲求が強すぎて何か主張をしなくては気が済まない人、新たなツールに反対するためのアラ探しをする人もいるでしょう。システム導入においては、常識的なものの見方ができる人でも、そんな方向に傾くことがあります。実務的な対処を考えてみましょう。

初めに全体像を描く

 「重箱の隅」の代表的なパターンは、プロジェクトの進行中、全体の目標や最適化に貢献しない細部について、過度にこだわる要望が出ることです。ウォーターフォール型では、すべての要件を最初に洗い出すことが多いのですが、これがしばしば「重箱の隅をつつく」原因となります。

 システム導入の際に重要なのは、初めに全体像を描くことです。細部にこだわる前に、デッサンのように、大きな輪郭をとらえ、その上で必要に応じて詳細を詰めていくアプローチが有効です。各パーツだけを細かく書きだすとバランスが悪くなります。

 まずは現状のデータで何ができるかを検証し、必要な機能を徐々に組み込む方法を採用します。そうすれば、余計な細部に振り回されることを防げます。要件をすべて同じレベルで判断するのではなく、頻度、重要度、効果、難易度(導入期間、情報複雑性)などの観点から優先順位をつけて取り組むことが重要です。

数値やグラフで理解得る

 次に、全体最適に寄与しない要望が出た際には、その問題の解決が全体の目標にどの程度貢献するかを数値化して明確にするといいでしょう。たとえば、生産リードタイムの短縮や在庫の削減にどのくらい影響があるのかを示し、要望が単なる部分最適化になっていないかを確認します。さらに、ガントチャートや負荷グラフ、在庫グラフなどを活用して、ビジュアルに全体の流れや影響を示すと、議論がスムーズに進みます。こうした手法により、重箱の隅をつつくような要望が全体に与える影響を視覚的に理解させることができます。

 最後に、プロジェクト全体での投資効果に基づいた判断を行うことが大切です。投資効果に関係しない要望については、実行しないという明確な方針を持つことで、無駄な議論やコストを避けられます。要望リストを作成し、それぞれの優先順位、効果、費用を明確にすることで、どの要望がプロジェクト全体に貢献するかを判断しやすくなります。

 重箱の隅をつつくような問題に時間を費やすのではなく、プロジェクト全体の成功に直結する要素に集中することが、成功への近道です

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(了)


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