困ったこと35~ 社内に抵抗勢力や反対派がいた

2025.02.05A3:生産スケジューリングの悩み相談

小さな成功から始めよう

 「抵抗勢力」とは、2001年ごろ小泉純一郎首相(当時)が掲げた言葉で、「聖域なき構造改革」に反対する人たちを、党内、党外を問わずまとめてこう呼びました。負のイメージが強いので、それ以来よく使われています。新しい制度や仕組みを導入しようとすれば、政党からサル山まで、反対者が存在するのは当然です。生産スケジューラの場合について、どんな対処ができるかを考えてみました。

自信のなさが反対派を助長?

 新たなスケジューラの導入プロジェクトによって、作業量が軽減されるのはいいことですが、これまでやってきた業務がなくなる人や、身に着けている技術が必要とされなくなる人がいます。直接の利害関係がなくても、変化を恐れる人々は、新しいものについて賛成することは少ないはずです。社内では立場によって利害関係が異なり、抵抗勢力は必ず発生し、先行きに不安を覚える人も多くいます。逆に抵抗勢力があるからこそ改革ともいえるかもしれません。

 実際にシステムを導入してみないと、わからない面も多いのですが、推進者は自信を持って、ことを進めなくてはなりません。自信のなさはプロジェクト推進の説得力を損ない、反対勢力を助長することになりかねません。

成果を確認しながら進む

 ここでお勧めしたいのは、小さなシステムから始めて、小さな成功を繰り返すことです。これがアジャイル開発といわれる方法です。徐々に反対派を説得し、結果として全社に広めることができるでしょう。あらかじめすべての要件を固めて導入を進めるウォーターフォール型では、影響をもたらす範囲が広く、多部門にまたがることで、反対勢力との合意が取りづらい傾向があります。一方、アジヤイル型は課題を細分化してメンバーを絞り込むことができ、また成果を確認しながら次のフェーズに進めるので反対する人たちを説得しやすいのです。信頼関係が構築され、しだいに協力関係が深まっていくのではないでしょうか。

 アジヤイル型は要件定義、実装、設計、運用を繰り替えしながら最終目標に到達します。チェックポイントが複数あることで、ユーザの課題に柔軟に対応する事ができます。

 プロジェクトを細分化することで複合する課題をシンプルにして、ひとつずつ課題を解決します。また、ひとつの課題を解決することで優先する課題も変わり、その都度、課題を見直すことで最も重要なことから導入できます。効率的なシステム導入になります。

 実際にシステムが導入されれば、新たな価値観や文化が生まれ、また違った抵抗勢力が生まれるかもしれません。常にさまざまな抵抗勢力との戦いとなることを覚悟しておかなくてはなりません。ただし好んで敵に回す必要はなく、反対派の意見に耳を傾け、見落としがちな課題を発見することで、プロジェクトの質が上がることもあります。反対派には、具体的に問題点を指摘してもらいましょう。対話と情報の共有を積極的に進め、力を合わせて目標に向かいたいものです。

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(了)


技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps