困ったこと35~「何でもできる」と思い込んでいる人に困った

2025.04.23A3:生産スケジューリングの悩み相談

ITツールやシステムを導入するときに、「何でもしてくれる」と思い込む人がいます。Asprovaについても、「ボタン一つで完璧な生産計画が立てられる」と考える人がいるのです。しかし、現実には、Asprovaは万能ではありません。このような思い込みを解消し、効果的にツールを活用するためには、いくつかのステップを踏む必要があります。

目的を明確に、投資効果を見極め

初めに、Asprovaを導入する目的を明確にすることが不可欠です。どのような課題を解決したいのか、どの業務プロセスを改善したいのかを、具体的に把握し、書き記してみましょう。目的があいまいだと、ツールの活用方法もぶれやすくなり、期待する成果を得られない可能性があります。

次に、Asprovaへの投資効果を最大化するために、実際に効果が期待できる機能やプロセスに焦点を当てましょう。Asprovaに組み込みたいという要件はいくらでも出てきます。しかも一度にすべてが出てくるのではなく、後から後から出てくることが多いのです。すべての機能を導入しようとすると、コストや時間がかかるだけでなく、効果的な運用が難しくなります。目的をはっきりさせ、優先順位をつけて、最も必要な部分から順次導入していくことが良策です。Asprovaの役割を明確化することによって、システムに組みこむ要件と、運用によって対応する要件の切り分けもできます。

複雑な要件は無理しない

テレビで放映される先進的な運転支援システムのCMには「機能には限界があります」というメッセージが必ずついてきます。Asprovaも先進的で強力なツールですが、複雑な要件すべてに対応できるわけではありません。過度に複雑なプロセスを無理にAsprovaに適用しようとすると、システムがうまく機能しない可能性があります。とりあえず、シンプルで明確な要件に絞ることで、ツールの強みを生かすことができます。

Asprovaには多くの標準機能やオプションがあります。まずは標準機能や公式オプションで対応できるかを確認しましょう。これらで対応できない要件に無理に合わせようとすると、システム全体の安定性や効率性が損なわれる恐れがあります。Asprovaが力を入れているオプション機能に「Solver」があります。これで難題を突破できるケースも増えてきました。Solverは、できなかったことができるようになるだけでなく、設定が楽になり、運用がしやすくなるという長所があります。

難しい要件に対し、プラグインの開発が提案される場合もあります。ただし費用と時間がかかることになります。一般に、多くの要素を入れ込み過ぎるとシステムが煩雑になり、あとあとの扱いがむつかしくなります。

要点をまとめてみます。Asprovaは強力なツールです。しかし「何でもできる」という思い込みは禁物です。導入前に課題を整理し、目的や目標を明確に設定することで、ツールの限界を理解し、現実的な活用方法を見出すことができます。計画的に導入を進め、適切な教育とサポートを行うことで、Asprovaを最大限に活用し、業務改善を実現しましょう。

(了)

技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps