納期遅れ・計画変更を見逃さない~ユーザー目線でエラー防止

2024.08.27A3:生産スケジューリングの悩み相談

 生産スケジューラAsprovaを使いやすくしていくため、アスプローバ社では「ペインポイント」の解消を大きなテーマに掲げています。ペインポイントとは、ユーザーが痛みを感じる点です。お客さまやビジネスパートナーのみなさんの「ここが使いにくい、何とかならないか」という声に対し、なるべく早く改善しようとしています。その1つ「メッセージボックスの設置」について紹介します。

要望にこたえ、1か月で開発

 メッセージボックスの要望を伝えてくれたのは、ビジネスパートナーである株式会社ハブ(浜松市)のエンジニア、テ・ヒウンさんです。

 「ユーザーさんから最初要望を頂いたのは2022年ごろです。納期遅れが出る時には、それをAsprovaから警告してほしいと言われました。ガントチャートには納期遅れが表示されるのですが、見落とすこともあるので、メッセージウィンドウで知らせて、という要望でした」

 これに対して、テさんは標準機能を利用して、作業テーブルで絞り込みしたスタイルを自動で表示するという対応をしました。しかしやはり気づきにくいと言われたそうです。

 「作業する人の中には、Asprovaの操作に慣れていない方もいます。リスケジュール後に開いた作業テーブルをつい無視してしまうことがあるとのことでした。メッセージボックスであれば、出現した際に必ず気付けると指摘されました。Asprovaには数多くの機能がそろっており、ほとんどの要望に対応できますが、メッセージボックスの表示機能はないということで、意外だなと思いました」とテさん。

 テさんが、この件をアスプローバ社が開いたペインポイントの会議で報告したところ、早速、改善対象となりました。開発担当者はアスプローバ社のエンジニア・松浦出さん。ビジネスパートナーやユーザーと、掲示板を用いてやりとりを進める中で、メッセージボックスの仕様を固めていきました。

 松浦さんは「着手して1か月くらいの2024年5月に、実装に持ち込むことができました。当初の要望は、納期遅れの警告でしたが、それだけでなく、スケジューリングやリスケジューリング終了の通知、コマンドを実行するかどうかを確認するyes/noボタンなど、ユーザーの要望に応じ、さまざまな通知を設定できるようにしました」と言います。

「あるといいな」再認識

 アスプローバ社でも、メッセージボックスの必要性は、以前からわかっていたのですが、プラグインなどで付け加えることができると考え、標準機能には入れていませんでした。実際にユーザーやパートナーから指摘を受けることで、改めて「あるといいな」と利便性を認識したそうです。

 テさんは「今回の件は、計画を立てる機能そのものではありませんが、実際にAsprovaを操作する作業者からすると、大変助かることは間違いありません。忙しい業務の中で、いくら注意を払っても、見落としなどが発生する可能性があります。メッセージボックスはスルーできないので、ヒューマンエラーを減らすことができ、スケジューラとしても使いやすい形になったと思います」と話してくれました。

 アスプローバ社では、このような細やかな気づきを生かした改善を、これからも進めていくそうです。


(了)


技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps