ガントチャート上の合計数値を一目で~ ペインポイント改善します(集計表示機能を追加)

2024.09.17A3:生産スケジューリングの悩み相談

 生産スケジューラAsprovaを使いやすくしていくため、アスプローバ社では「ペインポイント」の解消を掲げています。ペインポイントとは、ユーザーが痛みを感じる点で、その把握と早期改善に努めています。今回は「資源ガントチャートで選択した作業の数量合計、製造時間の合計を見たい」について紹介します。地味ではありますが、生産性向上につながる機能です。まもなく標準機能としてリリースされる予定です。

手修正を容易にする工夫

 このペインポイントを初めに指摘したのは、ビジネスパートナーであるAJS株式会社のベテラン技術者・市川政伸さんです。化学大手の工場で、ポリマー合成の複雑な工程を担当しています。そこでは2系列を10日間隔で切り替えながら運転しており、片系列でしか生産できない品目と両系列で生産可能な品目があります。また生産量には上限があり、他にもさまざまな制約があります。完全な自動計画は難しく、生産日の分割や系列間の移動について、手動による微調整をします。その際、製品の生産量や製造時間などの合計数値を知っておく必要があります。

 そこで市川さんは、作業テーブルを利用して、ツールボタンを押すことでそうした合計値を表示することができるようにしました。ただ、もっと少ない手順で確認できる方法がほしいと考え、2024年の初め、アスプローバ社に「ガントチャート上で特定のエリアを選択すると、画面上で生産量や製造時間の合計数値が出てくる機能があったら便利です」と提案しました。

自由自在に~提案で拡張された機能

 アスプローバ社とビジネスパートナーによるペインポイント会議を経て、さっそく開発が始まりました。合計数値は、画面下方にある横長のステータスバーに表示されることになりました。

 さて開発中の機能が公開されると、トーテックアメニティの畑原祐司さんから、掲示板で意見が出ました。

 「生産量や時間だけでなく、ユーザーの要望に合わせて、いろいろな数値を取り扱えるようにするべきでは」というのです。畑原さんは印刷業の案件を取り扱っており、そこでは原料の制約があります。たとえば4000㍍、6000㍍といったロール紙の長さです。1巻使い切ったら、交換が必要になります。

 畑原さんは「自身の経験をもとに改善できればと思い、新機能をチェックし始めたころに、ちょうどこの件が公開されました。手動で計画調整をしやすくするための機能ということで、私が担当している印刷業のお客さまをイメージして考えました。印刷業では製造時間の精度が高くない場合が多く、製造時間は参考値とし、他の情報と組み合わせながら計画調整することが多くなります」と言います。

 こうした要望を取り入れて、着手から半年くらいで新機能が仕上がり、リリースできるところまでこぎつけました。開発担当であるアスプローバ社のエンジニア、上野智久さんは「パッと見て必要なところを選択すれば集計ができます。資源の空き時間を減らしたり、残業を減らしたり、そうした計画が立てやすくなります。効率向上とコストダウンに寄与するでしょう」と話します。

 「今回は、ビジネスパートナーさんから意見をいただいて、自由自在にデータを設定できる仕組みにしました。思ってもみないような使い方が見つかるかもしれません」と、期待を込めています。

 アスプローバ社では、このような細やかな気づきを生かした改善を、これからも進めていくそうです。


(了)


技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps