チームプレー ~生産スケジューラ稼働に大切な体制と考え方とは~

2023.03.24X3:コンサルタントダイアリー

WBCが開幕しました。
通常は4年おきですが、今回はコロナ禍によって延期され6年振りです。待たされた分、応援にも力が入ります。ダルビッシュ選手が惜しみなく後輩にアドバイスする姿が話題になるなど、開幕前から盛り上がってましたね。

先日、あるユーザ様から生産スケジューラを活用できなくて困っているので、アドバイスしてほしいとご連絡を頂きました。
工場に伺ってお話を聞くと、生産管理部主導で導入が進められておりスケジューリング対象は工場全体(10工程)。サイクルタイムや設備制約などマスタ情報は一通り登録してあり、ボタンを押すと自動でスケジュールを一応は立ててくれる。
しかし、各工程に着目すると人間が立てる計画とギャップがあるなど課題が山積しており、どこから手をつけていいか、、、という状況でした。

システムの質や完成度を高めるために、課題を一つ一つ解消していく、というアプローチも有効かもしれませんが、挙げられている課題が生産管理部として課題と認識したもので、工場全体として捉えると違った解釈がされるかもしれないなと思いました。
そこで、一度、工場長、製造部、購買部にも見て頂きながら、生産スケジューラを使って生産計画業務を完遂してみませんか?とお話ししてみました。多少不格好でもOK。マニュアル調整がたくさん入ってもOK。そこはご容赦頂くとして。

そして、その場が設けられました。
生産スケジューラを使って立てた工場全体の生産計画をみんなで眺めます。色々な意見が出ます。例えば、「品目A、Bがあり、生産順序がA→B→A→B→A→Bとなっている箇所は、A→A→A→B→B→Bとまとめて生産するよね」と製造部から意見が出ます。これは生産管理部で挙げられていた課題の一つでもあります。
「でも、まとめ生産して段取り回数が少なくなってリードタイムが短くなることもあれば、待ってまとめて生産しようとすることで逆にリードタイムが長くなることもあるよね。まとめて生産した方が良いか、しない方が良いか、生産スケジューラで工場全体を俯瞰しながら、生産管理部で都度判断した方が良いんじゃないの?」と工場長からアドバイスがありました。
生産スケジューラの使い方としては、自動スケジュール→意志入れ(まとめ生産する/しない)→自動スケジュール→意志入れ(まとめ生産する/しない)→、といった半自動型です。製造部には非効率な生産順序でお願いしなければならない時もありますが、会社のため、お客様のため、ということで理解されたご様子でした。

このようなミクロ視点とマクロ視点が入り混じった様々な意見が出たことで、工場全体の中での生産スケジューラを活用した生産計画業務の姿が見えてきたようです。生産管理部で上げられていた課題は、優先順位が変わったり、課題ではなくなったものもありました。私は、生産スケジューラ活用の第一歩を踏み始めたのではないか、、、と密かに思いました。

工場運営も野球もチームプレーと思いますので、何か課題に直面した時はチームで乗り越えられたら良いですね。


(了)


技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps