生産スケジューラの革新 ~平準化スケジューリング~

2023.01.26S01:組立ラインの投入順序を最適化したい

前回のコラム(「フォワードスケジューリングとバックワードスケジューリングとは?」)では、フォワードとバックワードについて解説しました。フォワードは前詰めに、バックワードは後ろ詰めに計画を立てるスケジューリングでした。それに対して、作業を均等に割り付ける平準化というスケジューリングもあります。

平準化は、日ごとや品目ごとの生産数や、機械(資源)ごとの作業負荷を期間内で均一化します。作業者の負荷や在庫を一定にできるため、多くの工場で求められていますが、これまでの生産スケジューラでは実現が難しいものでした。なぜでしょうか。

平準化スケジューリングは難しい

フォワードとバックワードのロジックは簡単です。フォワードを例に取れば、納期に近いオーダーから順に空いている資源に作業を割り付けていきます。そうして出来た生産計画は効率を追求できる一方で、計画の前半は作業が集中し、逆に後半は生産数が落ち込み作業者に遊びが発生したりします。

皆さんの現場でも「今週は忙しくて残業があるのに、来週は打って変わって暇だ」という状況があるかもしれません。これは基準生産計画にて日々の生産数を一定にできないために起きる課題です。内示によっては週ごとの発注数にバラつきが生じますが、生産数が多い週の分を少ない週に移行して大きな変動を作らない方が、残業や資源の遊びを少なくできるのは明らかでしょう。

しかし、生産スケジューラでもなかなか出来ない領域が、この平準化でした。

平準化のロジックは非常に複雑です。機械の負荷や生産数を均一にするだけでなく、需要と在庫を見ながら欠品や納期遅れを起こさないように、ロットサイズや作業の割り当てを考えなければなりません。

これを従来のようにフォワードとバックワードだけでやろうとすると、多くの要素を考慮しなければならず、実現が難しかったのです。

平準化の最適解を導き出す

一方、Asprovaの新たなオプションとして登場した『Solver』は違います。Solverはフォワードやバックワードスケジューリングのように一回で計画を出すのではなく、何回も反復改善をして理想の計画に近づけていきます。人間が試行錯誤して計画を立てていくのと似ており、AIのようです。

Solverは、手持ちの在庫と今後の需要から日々の生産数を算出します。その上で生産量と負荷を平準化し、段取り時間や残業時間も最小化したスケジューリングを導き出すことができます。数か月先の中日程計画でありながら、小日程計画の粒度で平準化できるわけです。

生産計画に求めるものは千差万別であり、個別受注生産で一つの製品に何か月もかける工場では平準化は必要ないでしょう。しかし、多品種繰り返し生産で、1日に何品目も段取り替えをしながら生産する工場であれば、Solverが平準化に貢献できます。

(了)


技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps
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