納期と段取り両立の道を探る~人手で5時間かかった生産計画が、Solverにより10分で !
2022.06.10S03:納期遅れと段取りを同時に最小化したいアスプローバ社では、生産管理の困り事を解決するソリューションセミナーを開催しています。そのうち「納期遅れと段取りを同時に最小化するスケジューリング~[S3]」について、概要と感想を記します。「段取り」の時間が増えると、製造していない時間が増え、効率が下がります。しかし多品種生産のためには、段取りが必要です。投入順序の最適化で、段取り時間を減らすことと、納期に合わせた多品種生産の両立が可能になります。Solverは高速計算により、短時間で最適な投入順を示すことができます。
「納期遅れせずに段取りの削減はできない?」
生産現場において、納期を守りながら、効率を高めていく方法はあるのでしょうか。今回のセミナーでは、金型交換など「段取り」の回数を最小限にとどめ、なおかつ納期遅れをできるだけ防ぐことを、どうやって実現していくかを考えてみます。
多品種生産の現場では、段取りは必然となります。同じものを同じラインで作り続けると、変動する需要にこたえられず、タイミングを逸することによる納期遅れが生じてきます。
半面、段取りが増えすぎると、製造していない時間が多くなり、効率が下がります。人手もかかります。納期遅れが許されないということで、納期の早いものから生産すると、段取りの時間が増加し、生産性が低下し、かえって納期遅れにつながりかねません。
事情は工場によって千差万別です。工程には、段取りが短いもの、長いものがあります。治具の取り替えや、工作機械のプログラム変更なら、数分でできる場合もあります。一方、ラインの洗浄が必要な食品・医薬品の段取りには、数時間、あるいは数日かかるものまであります。
納期と段取り、両方をにらみながら、中間の最適なポイントを見つけなくてはならないのです。従来のスケジューラーでは、なかなか難しいものでした。要件(ルール)を明確化できない、ルールを厳密にすると柔軟性が低下する–などの問題があります。きまりさえ守っていればいいというコチコチ頭は、生産の現場では通用しないのです。
Solverで納期遅れせずに段取りの削減を実現
これを解決するのがアスプローバの「Solver」オプションです。膨大な生産順序を短時間で評価して、その時点で最もいいものを提示してくれます。
セミナーで紹介された実例1では、住設機器メーカーの例です。バスタブのプレス工程は、段取りに2時間かかります。一方で納期と受注量は変動するので、週1回1時間かけて、人手で生産順を決めています。それがSolverにより、1分の計画時間で、人が割り付けた結果と違わないものができあがりました。
実例2は、自動車部品メーカーの例です。段取りに20時間もかかります。大型のクレーンで金型の交換をしなくてはならないのです。ここでは隔週1回、人手で5時間かけて生産計画の修正を行っていました。それがSolverにより、10分程度で「一見してよいとわかる結果が出た」との評価を受けました。
なぜそんなことができるのか。Solverがシステムの中で行っているのは、反復改善です。10秒で100万通りの順序を計算します。その中から最適な順序から離れている度合い=ペナルティ=が小さい生産順に示していきます。あいまいで明確に数式化しにくい要件を、多くの経験を積み重ねることで、解決していきます。しかも人間と違ってあっという間にベテランの域に達するようです。
納期遅れせずに段取りの削減するSolverの適用方法
Solverは顧客の要望を反映させるため、アスプローバ社と顧客とが共同で開発します。打ち合わせ、試作、検証を短い期間で繰り返し(アジャイル開発といいます)、その後に製品の提供となります。アジャイル開発はアスプローバ社が無償で行うので、仲介する販売パートナーのコンサルタント料だけを支払ってもらうということです。顧客は高いリスクをとらなくてもすむわけです。
- 納期、段取り時間の詳細情報はナレッジセンターにてご覧いただけます。(会員登録が必要です)
コラム編集部
最新記事 by コラム編集部 (全て見る)
- 生産ラインを効率化する設計・レイアウトとは? - 2024年11月20日
- 【生産管理の基本】TOC理論とは?メリットや注意点、プロセスを解説 - 2024年11月20日
- 【安全在庫の基礎知識】計算方法や設定するメリット・注意点を解説 - 2024年11月19日