HiICS・萩生田智也さんが語る、Asprovaで支える工場の自動化と人材育成
2023.03.22X2:販売パートナーインタビュー生産スケジューラAsprovaの導入コンサルタントとして7年の経験を持つ日立産業制御ソリューションズ(HiICS)の技術者、萩生田智也(はぎうだ・ともや)さんに、導入現場の話を聞きました。同社は、グループの総合力を生かし、スケジューラを起点に工場のIT化を進めています。萩生田さんも、さまざまなシステム設計・開発プロジェクトのとりまとめに携わっています。自動化を推進する一方で、人材育成を大事にしているといいます。
統合提案で自動化進める
ー 御社の特徴を教えてください
HiICSは、産業や社会インフラで、人やモノの動きを制御するシステムの構築に取り組んでいる会社です。日立の長年の伝統を受け継ぎ、生産現場の知恵や経験を生かしたシステム作りを得意とし、これをOT(Operational Technology)と言っています。OTと、AIをはじめとするデジタル技術を組み合わせることで、これまでにない価値を提供できるところが、HiICSの特徴だと考えています。将来を見据え、完全な自動化も視野に入れています。もちろん実際の現場で完全自動化を実現するのは、簡単ではありません。めざす方向がそちらにある、ということです。
ー スケジューラもその一環を担うわけですね
そうなります。Asprovaで生産計画を立案し、MES(製造実行システム)で作業計画を確定して指示を出し、SCADA(監視制御システム)が生産設備やロボットを動かします。こうした統合的な提案ができることが強みです。
ー これまでの経験を聞かせてください
私はAsprovaの経験は7年ほどです。初期に取り組んだ歯車を製造する工場の件が、印象に残っています。3カ月ほどの導入期間の中で、初心者だった工場の中堅技術者がAsprovaの魅力にとりつかれ、どんどん実力をつけていったのです。「こうやればいいのか!」という発見の連続だったようで、とても教え甲斐がありました。最終的には私どもの会社にスカウトしたくなるほどの腕になりました。こういう人がそれぞれの現場にいると助かります。
電線製造の工場では、MESとの連携でちょっとした問題が起きました。Asprovaで分割した作業情報をMES側で再生することができなかったのです。仕様のわずかな違いから、こうしたことが起きます。その問題については、プラグインやアドオンなどを開発することなく、Asprovaの機能を活用することで解決できました。このように標準機能の組み合わせで問題を解決することは、技術者としての腕のみせどころで、「どうだ、見たか」というやりがいのある課題でした。
最近手掛けた製薬工場では、これまでの経験を生かし、育成に力を入れるようにしました。毎週の打ち合わせで、顧客側の技術者にAsprovaのことを知ってもらう時間を2時間ほど設けたのです。12週で計24時間ほどになるでしょうか。それによって、Asprovaの基本的な機能や必要なデータを理解できるため、話が通じやすくなります。よくわかった人がいれば、導入後の保守フェーズになっても安心です。
また顧客だけでなく、私たちの社内でも後進を育てることを心掛けています。私単独ではなく若手をチームに入れて、技術を継承することでAsprovaをさらに拡大していけるようになります。
ITの敷居を低くする
ー 顧客の心をつかむコツはありますか
ITは言葉がわからない、とよく言われます。わからなくて当然であり、顧客の使う言葉に置き換えて、敷居を低くすることが大事です。Asprovaを紹介するときは、とりあえず自分でポチっと操作してもらいます。それでパッとスケジュールが出てくると、関心を引くことができます。顧客がふだん扱っているデータを入れると、一段と親近感を抱いてくれます。
現場でふだん業務に携わっている人には、プライドがあり、今までの経験もあります。IT屋が外から入ってきて、いったい何をしようとしているのか、と不審な目で見られないようにしなくてはなりません。現場の方の意見をしっかり聞いたうえで「よりよくするために協力してください」「いっしょにやりましょう」という姿勢を心がけています。
ー 海外経験もお持ちとか
新型コロナ流行の直前、ニューヨークに1カ月滞在しました。社費による「インターン」です。日常の仕事とまったく関係のないことをしたいと思い、美術館に土産物を売る卸商で仕事をしました。もともと現代美術に関心があり、美術館だけでなく、街中のギャラリーにも足を運びました。残業もないので、夜はジャズやミュージカルを楽しみました。もう完全オープンになったので、そろそろ再訪してみたいですね。
(了)
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コラム編集部
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