シニア技術者の強みとは ~小野治通さんに聞く

2023.05.11X2:販売パートナーインタビュー

 東日本技術研究所のシニア技術者、小野治通(おの・はるみち)さんに、生産スケジューラAsprova導入についてお話を聞きました。長い経験と積み重ねられた知識を生かして定年後も大活躍する様子は、シニアの理想像かもしれません。

ー 東日本技術研究所について教えてください

 茨城県日立市に本社を置き、社員数800名、関東、東北などに12拠点を有します。社会インフラ・電気制御、車載組込・マイコン応用、情報システムソリューション、パッケージソリューション、電子カルテ・医療情報ソリューションなどさまざまな分野でソフトウェア開発を行っています。

 私の職場は、北茨城市にある北茨城事業所で、海にも山にも近い自然豊かな場所です。東京からは常磐線の特急で2時間程です。コロナ以後はリモートワークが中心となり、全国場所を問わずAsprovaの支援に携わっています。

ー Asprovaとはどんなかかわりを?

 現在社内でAsprova事業推進担当を務めており、後進の育成、当社ホームページでの事例紹介などもしています。アスプローバ社との連携はもちろんのこと、他のパートナー会社との協業も進めています。

 当社の強みは、通常のAsprova導入支援に加え、周辺のソフトウェア開発力です。標準機能やオプション機能では対応できない独自要件に対応するためのプラグイン開発も得意としています。

 アスプローバ社様との関わりは、パッケージ時代の20年以上前からです。2年前に前の職場で定年を迎え、アスプローバ社とのつながりもなくなったと思いました。ところが1年後には再就職先でAsprovaの仕事をすることになりました。

小さな拠点でも在庫を確保

ー 導入事例で興味深いものはありますか

 社内外の協力を得て、最適な実装方式を選定した医療機器製造のお客さまの例を紹介します。要望は、製品を工場から全国各地の倉庫拠点へトラックで輸送する際、トラックの積載制約を満たしながら、全拠点で在庫切れを起こさないように平準化した配送を行いたいというものでした。人命にかかわる製品を扱う場合もあるので、需要が少ない拠点でも最小限の在庫を保たなくてはなりません。

 現在庫率の順番でトラックに積載(割付)してしまうと、在庫回転数の大きい拠点へ集中して送られる傾向になります。お客さまと共に検討を行い、倉庫拠点別のSKU(製品在庫単位)毎に基準在庫率に対して現在庫率がどのくらい満たされているかという尺度(充足率)を設定し、1回の割り付ける度に充足率を再計算して全SKUに充足率の順番付けを行い、その順番で積載を行えば、在庫回転数の小さいところへも配分することができるという結論に至りました。しかし、ここで問題が生じました。Asprovaの計画パラメタでこの充足率を計算し、割り付けていくと、20分くらいかかりました。運用に耐えられるのは5分以下です。

 そこで処理時間を減らす工夫として、プラグインによる処理速度向上、Solverの適用など、いくつかの案を考え、アスプローバ社にも相談しました。プラグインの処理で倉庫別のトラックに積載可能な数量を計算し、同一配送先の同一品目を1つの作業にまとめながら作業数を最小化して割り付けるという方法にすることで処理時間の短縮を図りました。

ー コロナ禍の影響はありましたか

 新型コロナ発生当初は、Web会議のインフラやアプリはあまり整備されておらず、音声の途切れも頻発、動画配信などはほとんど使えませんでした。3年を経て、今やリモートワークやWeb会議は当たり前で、ビジネススタイルが大きく変わりました。導入支援作業の最初から最後まで一度もお客様と直接対面でお会いすることなく導入が終了できるようになったのです。

 可能な限り工夫もしました。お客さまの現場に近い生産ライン動画をYouTubeで閲覧して予備知識を得る、あるいはお客さまから現場の様子を動画撮影していただいて、Web会議で配信してもらい、実際の工場見学に近い疑似体験をする――などです。

 心がけているのは、Web会議であっても会話にメリハリをつけて、こちらで説明したい内容が伝わり易いようにするということです。

相手も超ベテラン

ー いったん定年になってもエンジニアとして活動できるのでしょうか

 シニアの需要は、結構あります。業界は人手不足です。お客さまの方でも、シニアの方が実際の担当者になってプロジェクトを推進されているケースが増えてきました。超ベテランのお客さまに対して若手のSEが対等に会話を進めるのは困難です。シニアにはシニアが対応することにより、スムーズに物事が進みますし、ほぼ対等にプロジェクトを推進することができます。

 現役の技術者は、管理面や雑務に時間を取られがちですが、シニアの立場であれば、Asprova導入支援の仕事に集中することができます。若い技術者の育成をする余裕もあります。

 総じて今は定年が早すぎると感じます。私は60代ですが、今の会社では現役の方並みに働いていて、幹部の方からは「70歳までいてください」と言われているくらいです。大事なのは体力です。茨城県の北の方には山がたくさんありますので、休日は登山やトレイルランをしています。文字通り、山道を走ります。悩みごとがあって机の上で考え込むよりも、体を動かすことで心も体も一旦クリアにして、新たな気持ちで課題に取り組むことで良い結果が出るようになります。

 人生100年時代です。シニアSEが自分なりの健康維持を図り、仕事を続けることで技術者不足の解消と人材育成に貢献できるのではないでしょうか。


(了)


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技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps