得意分野を知り、未踏領域を開拓 ~システムインテグレータ・野村篤志さんに聞く

2023.05.29X2:販売パートナーインタビュー

 株式会社システムインテグレータのベテラン営業マン野村篤志さんに、生産スケジューラAsprovaをどのように顧客に販売していったか、戦略を聞きました。自らの得意分野を知り、さらに他社が進出していない領域に踏み込んで、目標を達成しました。しかしそこに至るまでには、数々の試行錯誤があったようです。

どう売ればいいのか悩む

ー 貴社の紹介からお願いします

 弊社は「ソフトウェアの力で時間を創り出す」をコンセプトに、自社で企画・開発したパッケージを軸に、お客様へのシステム提案・構築を行っており、さいたま市に本社を置き、東証スタンダード市場に上場しています。私たちの事業部はERP(基幹システム)ソフトウェア「GRANDIT」(グランディット)を軸に、システムの提案・構築を行っております。「GRANDIT」は弊社のソフトウェアではありませんが、弊社が発起人になって13社のコンソーシアムメンバーで2004年から販売されております。基幹業務だけでなく、ワークフローやEDI(電子データ取引)、EC(電子商取引)などの機能が完全統合されており、弊社独自の追加機能(生産・工事アドオンモジュール、ローコード開発ツールなど)も多数用意しているWeb-ERPパッケージです。

 私はERPの仕事に1997年から携わっており、システムインテグレータには2006年に入社し、関西進出に伴って大阪勤務となりました。Asprovaに関しては、開発の木下という者とともに事業を企画し、2016年からビジネス展開しています。取り扱いパートナーとしては後発になりますが、これまで3回アワードを受賞しています。

ー Asprovaを取扱うきっかけは

 製造業のお客さまに基幹システムを提案する際、設備や製造現場の状態を加味した生産計画機能を求められることが多くなりました。ERPの生産計画機能で対応ができない要件が多く、カスタマイズすると費用が高くなり、提案はよさが認められても、値段で失注することもありました。

 そこで「餅は餅屋」だと考え、国産の生産スケジューラを調査して、Asprovaを選択し、PSI(生産・販売・在庫計画)ソリューションを考案しました。生産スケジューラの選定では導入実績や、機能の豊富さ、メーカーのフォロー体制、海外の工場にも対応できる多言語対応などを基準としました。

 当初はGRANDITの補完機能としてAsprovaを位置づけていましたが、並行してAsprova単独の商談も進めました、しかし手応えがありません。2016年の1年間は悶々としていました。他社はどのように売っているだろうと。上司からは3年で結果を出せ、と言われていました。

グランドデザインを提案

ー そこから転機があったのですか

 初心に立ち戻って、私たちの得意なことは何だろうと考えました。それは基幹システムです。既存のERPや生産管理システムと密に連携し、一気通貫な計画業務のシステム化の「グランドデザイン」をやります、というスタンスにしました。

 それから業態としては、組み立て系ではなく、プロセス系をやってみようと。具体的には、化粧品や医薬品、それらの原料メーカーです。相棒の木下がその方面に強かったのです。

 その結果、3年くらいでサプライチェーンやプロセスに強いSIとして認知されるようになりました。Asprova単独の案件も多数獲得し、3年間のトータルでは計画値をクリアすることができました。しかしすぐ次の壁にぶち当たったのです。大手企業との商談も増え、高度な要件に対応しようとすると1つ1つの案件が高額になり、決まりにくくなってきたのです。また予算がとれていても、費用対効果を明確に訴求できず、最終的に決裁が得られないというケースも出てきました。これに対して、弊社に新設され、私も携わったAI事業からの連想が役立ちました。

費用対効果を明確に

ー どういうことですか

 商談の時に決断がつきかねているお客さまに対し、PoC方式で事前検証を実施したのです。PoCはAIシステムでよく用いられる手法で、お客さまから提示いただいた情報に基づき、プロトタイプを作成し、実現可能性を検討、確認していきます。またプロトタイプの検証と並行して要件をまとめ、課題を洗い出すことで、精度の高い費用、スケジュール案も提示できます。お客さまからも費用対効果を明確にうたった上申が行えるということで評価いただいております。

 ここ2年ほどDXが話題となり、製造現場のデジタル化を真剣に検討するお客さまが増えています。また生産計画を手動で立てていた熟練者が退職間近であったり、人手不足が深刻化したり、計画業務の自動化、スマート工場化に対する追い風は吹いています。ただし、それはそれで問題があります。同じ企業の中でいくつも検討プロジェクトが進み、その中で競合にさらされることになりました。また単一のシステム導入ではなく、部品表の管理やMES(製造実行システム)などをあわせた提案依頼も増えました。これに対しては、GRANDITやAsprovaを軸にスマートファクトリーソリューションを考案し、2021年から複合提案や段階導入などの提案を推進しております。

 今後は2022年秋にリリースされたAsprovaのオプション機能であるSolver(計画の最適自動化)を活用した提案・構築に注力したいと考えています。設定作業を簡便化し、コストを削減させて、より多くの顧客へ導入したいですね。またSolverはメーカーしか定義・設定できないので、他社との差別化を行うために、自社の知見に磨きをかけることも進めなくてはなりません。

ー お仕事とは別に、趣味などについても教えてください

 高2のころから30年以上、ベースをやっています。ヘビメタ系なんです。アイアン・メイデンをリスペクトしていて、そのベーシストのスティーブ・ハリスとか好きです。スティングも。今は2つのバンドを掛け持ちして、梅田や三ノ宮のスタジオが練習場所です。あとカンフー映画。特にブルース・リーがずっと好きで撮影場所など香港のゆかりの地はすべて行きました。いわゆる聖地巡礼ですね。


(了)


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技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps