スケジューラは面白い~システムインテグレータ 木下裕典さんに聞く

2023.06.26X2:販売パートナーインタビュー

 株式会社システムインテグレータの腕利きエンジニア・木下裕典(きのした・ひろのり)さんに、生産スケジューラAsprovaの導入法について聞きました。基幹システムの構成部品として取り組み始めるうち、Asprova単独のビジネスも増えていったといいます。

サプライチェーンの一環として

ー Asprovaとのかかわりを教えてください

 私は自動車部品メーカーの情報システム部門を振り出しに、システムエンジニアとしていろいろな会社に勤めました。23年の経験があり、多くの業種で、ERP(基幹システム)ソフトウエアの導入にかかわってきました。現在の勤務先であるシステムインテグレータも、ERP(GRANDIT=グランディットという製品です)を中核としています。

 もともとAsprovaの名前は知っていました。GRANDIT導入を進める際、生産計画の部分はAsprovaの力を借りようと思い立ち、営業の野村という者とともに、事業を企画しました。それが2016年ですから、私のAsprova歴は6~7年といったところです。

 始めたころは、案件の獲得に苦心しました。それとともに、導入するためのメンバーを社内で確保するのが大変でした。私が1から10までやることはできないので、この領域の経験があったり、関心を持っていそうな技術者に声をかけたり、紹介してもらったりして、一緒にやってくれる仲間が増えていきました。あまり他社が参入していないプロセス系や複数拠点の計画を中心に導入を図っていき、今は私も含めて経験を積んだ少数精鋭の7人体制でやっています。

ー 得意技は何でしょう

 われわれの扱っているERPの機能には、販売、会計、生産、原価計算なども含まれています。生産計画についても、単体の業務ではなく、サプライチェーンマネジメントの中の製造計画・管理業務の中の一段階としてとらえています。全体を見て話ができる、というのが強みだと思います。

 私自身は、会計や販売業務より生産計画の部分が好きで、Asprovaは性に合っていました。規模の大きいERPとは異なり、小回りのきくアジャイル方式で、顧客とコミュニケーションをとりながら、要望に対してすぐに応答することができます。導入の際には工場を見学させて頂き、実際のラインを目で見てから生産計画の粒度やマスタ設定などについて顧客と一緒に検討します。顧客満足度も高まりますし、やっていて楽しいですね。

 弊社はパッケージベンダ、かつ私の所属はERP事業部ですから、当初はAsprovaを単独でやるつもりはなかったのですが、今ではAsprovaが私の仕事の比重のかなりの部分を占めるようになりました。正直、面白いからやっています。他の人はどうしてこの楽しさがわからないのだろう、と思ったりします。

楽しくなければ続かない

ー 課題を感じることはありますか

 人材育成です。Asprovaに新たに取り組もうとする技術者は、トレーニングを受けている時は、簡単な設定で何でもできるように思い込みがちですが、いざ実務に取り組むと、Asprovaのかなり深い動きまで理解しないと、実業務で使える計画パラメタが設定できません。Asprovaはブラックボックス的な部分が多いので、コマンドの動きやクラスの繋がり、各種設定の適用ルールを教えるのが難しいのです。かなりニッチなスキルが必要になるため、経験によって克服していくしかない側面があります。

 さらに計画業務の全体像を理解するのも大変です。この分野の知識を持つ人がそもそも少なく、多様性に富んだ領域のため、実際のプロジェクトや実データでのサンプリングを通して、OJTで時間をかけて育成しています。若手には計画業務そのものの楽しさや、新しい知識を身に着けるに楽しさを見つけてほしいですね。そうでないと続きません。

 Asprovaのオプション機能である「Solver」は、一般ユーザーでもPC上で数理最適化が使えるというのが魅力です。それに加え、将来的には顧客側と私たちSE、双方の人材不足の課題を解決できるかもしれません。そもそも経験豊富な計画担当の方が時間をかけている業務に対して、私たちが時間をかけてゴリゴリ組込んでいたところを自動的にやってくれるわけですから、大いに期待しています。

ー 将来やってみたいことはありますか

 サプライチェーン領域で提案ができるようになりたいですね。詳細な生産計画の上流の部分で、SCMやS&OPといいますが、平たく言うと需給調整を含む予算立案やその月次見直しのプロセスです。そうした領域のコンサルティングも含めて提案できるようにしたいです。Asprova SCPという、サプライチェーンプランニング向けのモジュールがあり、引合いは時々あるのですが、顧客の要望に向いていなかったり、われわれのノウハウが足りなかったりして、課題が多い領域です。Asprova SCP だけでなく私たちもソリューションを検討してお客さまに提案していけたら、と考えています。

ー 休日の過ごし方は

 私の子供が所属するサッカーチームのコーチをしています。みんな熱心で、暑い時期にも大会がありますから、なかなか大変です。子供は小さな大人だと思っていまして、子供たちへの接し方と仕事上のチームマネジメントは通じる部分があり勉強になりますし、子供たちの成長を見る楽しさもあります。


(了)


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技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps