顧客の課題から新Solver誕生~トーテック 河合貴大さんに聞く

2024.03.27X2:販売パートナーインタビュー

 アスプローバ社の生産スケジューラAsprovaは、オプション機能Solver(ソルバー)によって、これまで解けなかった生産計画の難題を解決しています。トーテックアメニティのエンジニア河合貴大(かわい・たかひろ)さんは、お客さまの課題に向かい合いながら、新たなパターンのSolverを生み出しました。その経験を聞きました。

複数工程で1つの機械を使用

ー どんなお客さまで、どのような課題があったのでしょうか

 お客さまは複数の工場を持つ高機能フィルムメーカーで、世界的な企業に納品しており、納期厳守が求められます。その中で、段取り時間を最適化したいという要望を受けました。段取りと納期の問題なら、Solverですでに開発されている「S3」があてはまります。ただし、今回は独特の制約条件がありました。コーティングの工程が数回あり、それを同じ機械で行うのです。複数工程が1つの資源(機械)を通る場合、既存のSolverでは対応ができないのです。そこで新たな方式を開発する必要があり、手探り状態でPoC(概念実証)を始めました。

 Solverの核心は「ペナルティ」にあります。理想の状態から乖離した度合いをペナルティと呼び、その値が小さくなるよう、計算機上で生産計画を改善していきます。今回は、アスプローバ社でペナルティを設定してもらい、われわれとアスプローバ社とでSolver実行結果を確認し、お客さまを含めた3社会議で実行結果を評価しました。課題が生じた場合、また初めにもどって、ペナルティ設定をやり直します。

ー 困難を感じたのはどこですか

 昨年春ごろ着手し、当初は3,4か月で仕上げるつもりでしたが、半年くらいかかって、使えるものが出来上がりました。ペナルティに関して、従来のAsprovaとはまったく異なる設定法が必要で、私たちの知見の蓄積がなかったため、そこに最も難しさを感じ、アスプローバ社に頼ることになりました。

 結果として、完璧とはいえないまでも、及第点をいただきました。お客さまの要求はレベルがとても高く、まだ改善すべき点はあると考えています。この案件と、さらに弊社で開発した別の案件から、「汎用Solver S8」が生まれ、アスプローバ社のラインナップに加わることになったということです。

 私自身にとっては、これが初めてのSolver導入でした。「大丈夫か」と社内で心配されたのですが「チャレンジします」と宣言して取り組みました。Solverがなかったらお客さまを満足させる計画は出来なかったと思います。段取りの最適化だけでなく、平準化、残業の調整などの機能があって、お客さまの需要も強いことを感じています。今まで手が届きそうで届かなかった要件が、Solverで解決できるかもしれません。

豊富な実績が業種別テンプレートに

ー これからやってみたいことはありますか

 私はAsprovaで10年の経験があります。今後、Solverをどうすればうまく導入できるか、その改善プロジェクトが社内で立ち上がり、リーダーを仰せ付かっています。Solverを活用できるよう、アスプローバ社とやりとりしながら、やっていくつもりです。お客さまに対しては、どこを改善するとよくなるのかを考え、提案型のエンジニアを目指します。

ー トーテックアメニティについて教えてください

 弊社は組立系、プロセス系の隔てなく、どの業界においても豊富なスケジューラ導入実績があります。また、名古屋と大阪にAsprovaシニアSEが15人います。パートナーの中でも最大級だと自負しています。標準機能では実現が困難な要件でも、プラグイン機能を開発して実現します。

 今、業種別テンプレートファイルを作ることに取り組んでいます。お客さまに初めてAsprovaを紹介する際、お客さまは「うちの工場に合うかな?」と聞いています。そこで、弊社の豊富な実績をもとに、業種別のテンプレートファイルを独自で用意し、お客さまの業界に近いマスタ構成、製造指示のデータを用いてデモが実施できるようにします。

ー ご自身の趣味や休日の過ごし方は

 勤務地は名古屋で、岐阜県土岐市から通っています。子ども3人がおりまして、ソフトテニスをやっています。一番下は幼稚園の年長組ですが、お姉さんたちを見て、テニスをやるのです。休日は遠征と練習に付き合うため、ほとんど家にはいないですね(笑)


(了)


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技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps