16%の生産増と43%の工数減を果たす

2023.11.19X0:ユーザーインタビュー

 2023年11月2日、東京駅前のミッドタウン八重洲で開催された「Asprovaユーザ会2023」で、アリアケジャパンと日本エー・エム・シーの2社が事例講演を行いました。アリアケジャパンで導入を担当した濱田剛さん(生産管理課 課長)のお話を、要約してお伝えします。

売上高は右肩上がりも生産計画は…

 アリアケジャパンは、長崎県に主力工場を置く畜産系の天然調味料のメーカーです。2500品種を扱い、高度な技術力により、高級ホテルをはじめ2万社以上の取引先があります。本物志向、一貫生産、高付加価値を求めています。手間も時間もかかりますが、コクや風味を大事にしています。

 製品の需要は変動が大きく、ライフサイクルは短い傾向があります。食品は新製品が次々に出て、需要も事前予想通りにはならないことが多く、いかに効率的に生産するかが、大きな課題です。これまで列車の時刻表のような生産計画を立て、工程を一つずつ基幹システムに入力していました。長いと10工程以上あり、生産変更に伴う書き換えも大変です。週3500件のデータについてチェックを行わなければならず、それに大半の時間をとられることもあります。こうした作業の属人化、スタッフの高齢化も問題になってきました。

 売上高は右肩上がりなのに、スタッフが増えることはなく、限界にきていました。省力化のため、スケジューラ導入を決めました。導入に際し、力を入れたのは次のような事項です。

 まずAsprovaのオプション機能である「重なりMAX」の活用です。食品製造には、工程と工程の間にあけなくてはならない時間があったり、逆に工程と工程の間があいてはならない場合があります。こうした生産工程を「重なりMAX」を利用して割り付けていきました。

 次いで「副資源」機能の活用です。従来の工程表では、攪拌に続く次工程が1つの工程として処理されていました。この機能を用いて、表示が省略されていた工程をわかりやすく示すことができました。

 さらにオリジナルのロジックを作成し、登録ミスをなくすことに努めました。

新人社員でもできた

 期待していたのは、前述のような属人化の防止と、ミスの予防、高速な計画立案です。導入の結果、スピーディーに変更を実行でき、ミスも生じませんでした。チェック作業を省くこともできました。さらに可視化によって、生産設備の能力を引き出すことができました。生産実績は16%増。計画工数は43%減。年間1000万円のコストダウンを実現しました。製造現場管理者の業務は、年間500時間分の削減となりました。今は、入社2年目の若手社員が1年目からアスプローバを習得して、やっています。これまで長い経験が必要で、苦労して習得したものですが、一変しました。

 課題は、24%にとどまっている導入率です。拡大にあたっては、人材育成も必要になります。アジアやヨーロッパにも生産拠点があり、グローバルにAsprovaの活躍が広がることを期待しています。

 次の段階として、ローコードツールのTALONの活用を図っています。Asprovaとの相性がよく、さまざまなデータを集約して可視化し、意思決定や課題解決を支援する「BIツール」として使えると考えています。

 未知のソリューションを導入する際には、変化に対する不安が多かったのですが、ベンダーであるNSW社の助けもあり、成果を上げることができました。欲張りすぎず、スモールスタートで行ったのもよかったと思います。おかげさまで、社内でも成果を評価してもらうことができました。みなさまに心より感謝いたします。


(了)


技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps