Solverで納期順守と効率化を両立

2023.11.19X0:ユーザーインタビュー

 2023年11月2日、東京駅前のミッドタウン八重洲で開催された「Asprovaユーザ会2023」で、アリアケジャパンと日本エー・エム・シーの2社が事例講演を行いました。日本エー・エム・シーで導入を担当した生産管理部・竹内有美子さんのお話を要約してお伝えします。

手動からの脱却

 日本エー・エム・シーは、福井市に本社を置く高圧配管用継手の専門メーカーで、生産は国内の他、タイ、フィリピン、中国でも行っています。原料の金属を機械加工し、メッキ、組み立て、洗浄というシンプルな工程です。

 従来の生産計画は、手動で立てていました。週ごとに700~800件の指示書がきて、一週間分まとめてエクセルで計画を作ります。時間がかかるので、休日出勤したり、丸一日かかりきりになったりして作業しました。飛び込み受注があると再計画しなくてはならず、無駄作りや無駄な日程も生じていました。

 日々修正可能な計画を求めて、スケジューラ導入を図りました。高度な機能とシンプルな使い方が魅力で、Asprovaを選びました。

 弊社では、Asprovaは、SAP(基幹システム)からマスター情報や製造オーダを受け取り、作成した作業指示情報をSAPに返します。Asprovaでは、自動計画作成により、3か月分の生産を平準化、必要に応じて手動修正し、うち直近1日分の作業のみを確定指示とします。指示書は3か月分で約7000件。1日分は150件ほどになります。手動で修正するのは、材料の有無や納期の前倒しに対応するためです。

 導入の後、負荷の平準化や納期遅れの解消、見える化といった成果が得られました。

材料と治具の交換を大幅減

 そしてさらなる改善と生産性の向上をめざしました。改善項目は、加工時間の短縮、段取り回数の削減、段取り時間の短縮の3点です。そのうち3つ目の「段取り時間短縮」について、AsprovaのSolverオプションを試してみることにしました。

 弊社の製品は1万種にも及びます。一方、1つ1つの製品は平均で20個~30個しか作らない多品種少量生産型です。そのため材料や工具・治具を交換する「段取り」を繰り返さなければなりません。1日10回以上やることもあります。段取り時間は、工具を交換する時間と、材料・治具を交換する時間の2つに分けられます。工具の方は種類が多く、改善が難しいため、今回は材料・治具の交換回数削減を課題に設定しました。

 納期遅れがないよう、しかも同一材料を連続加工する生産計画を、Solverで作成します。材料を「副資源」に設定し、その切り替えを最小化することを目的としました。Solverは最適な計画を求めて、自動的に試行を繰り返してくれます。そして試行回数600万回程度で、約20分の計算により、よい計画が自動作成できることがわかりました。

 これによって、3か月間の材料切り替えは、3210回から2138回に減り、1か月で50時間の削減となりました。Solver導入は、着手後半年という比較的短い期間で完了することができました。

 次の段階として、段取りの中で、今回は難しいとされた工具交換の削減にも取り組み、生産性向上につなげたいと考えています。


(了)


技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps