未来を開く新機能、3チームで開発

2023.11.19X0:ユーザーインタビュー

 2023年11月2日、東京駅前のミッドタウン八重洲で「Asprovaユーザー会2023」が開かれました。席上、アスプローバ社の最近の研究開発についての紹介がありました。Asprova改良、Solver、そしてWebViewer(ウェブビューワ)の3チームが編成され、会場ではそれぞれのブースが設けられました。担当エンジニアやコンサルタントがデモを行い、ユーザーの質問に答えました。壇上やブースで説明された新機能の概要は、次の通りです。

1.新バージョン

 Asprovaの新バージョン17.4は、11月に正式リリースされます。今回の変更点で、一番の特徴は、「製造時間調節式」の導入です。スケジューリングがさらに柔軟化し、製造時間を動的に決めることができます。日付をまたぐ作業は製造時間を延ばす、作業が進むにつれて習熟が進み生産スピードが上がる。そういった状況に対応できるようにしました。同様に段取り時間について、曜日によって変わることなどに対応する「段取り時間調整式」が導入されます。

 製造予定表で計画を編集する機能も追加されます。ガントチャートを使わず、Excelで計画を作りたい方におすすめです。これまで慣れていた形式で編集したいという要望におこたえしました。

 17.5以降で、アイコンを追加します。オーダガントチャート上にアイコンを表示することができるようになります。アイコンはとりあえず14個、4色ずつ用意します。要望に添って増やしていくこともできます。

 Asprovaのユーザーインタフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)は、常に改良を続けています。ただし既存のユーザーが戸惑うことがないよう、一気に変更することはせず、わかりやすさを第一にしています。

2.Solver

 次々と増えているオプション機能Solver。反復改善で高難度のスケジューリング問題を解いていきます。S1からS8まで市場投入されており、S12まで開発過程にあります。

 S3、S4は納期遅れと段取りを同時に最小化するのが目的で、すでに10社ほどで実用化されています。S8は、金型や治具を用いる工程で、納期遅れと段取りを最小化する計画を立てます。S10は、食品・化学などプロセス系で、タンクの割り付けをします。これが難しく、重なりMAXや資源ロックといった機能を駆使しても、なかなかうまくいきません。そこでSolverで解いてみようというわけです。PoCを3、4社で予定しています。

 現在力を入れているのが「汎用Solver」です。個別の開発をできるだけ減らし、共通項で解決しようという考えで進めています。S8でも汎用化が試されています。これまで要件定義からPoCと、半年から1年かかっていた過程が省略され、すぐに使えるようになります。従来のAsprova体験版と同じようなものです。11月にもリリースできる見込みです。

 ただし汎用Solverは、すべての案件に対応できるわけではありません。その場合は従来のSolverでPoCを試すことになります。

3.WebViewer

 これまでAsprovaは、ソフトウェアがインストールされたパソコンで見るものでした。このWebViewerは、PC1台だけでなく、ウェブを通じて、どこでもスマホやタブレットで見ることができデータを共有できます。計画を作る性能はAsprovaそのままです。一方で表示の仕方にさまざまな工夫を加えてあります。一種のオプション機能といえます。

 チャートがみたいという現場の声にこたえることができます。また生産実績を現場から入力できます。スケジューラの導入と運用がしやすくなります。見やすいことにこだわり、立て込んだ予定も、拡大表示機能により、はっきり見ることができます。

 現在ベータ版を評価中で、2024年3月に正式リリースされる予定です。

 Webviewerについては、PoCを実施した2社から事例発表がありました。

 1人目は、半導体洗浄装置で世界的な「SCREENセミコンダクターソリューションズ」のびわこ工場生産計画課課長、大杉隆明さん。「半導体の工程は複雑です。Asprovaを導入し使っていましたが、製造部門から『生産管理部だけ見えてズルい。こちらでもガントチャートを見たい』と要望がありました」と導入の経緯を話します。入れてみた結果「単純に見るだけでなく、実績入力ができるのがいいですね。機能豊富で汎用性があると感じました」と感想を述べます。「現場ではかなりの人数がいて、それぞれがモニターを持って動いています。人によって見たい情報が違うので、表示をカスタマイズできるといい。また計画パラメータの操作など、思いついたらすぐできるようになると、さらにいいですね」と、今後の要望を話しました。

 2人目は、紡績大手「クラボウ」のテキスタイルイノベーションセンターに所属する高山真一さん。DX推進と工場のIoT化を担当しています。「Asprova MESを購入しようとしていました。現場でガントチャートを見るためには、その必要があったからです。ただちょっと使いにくい点があり、WebViewerのPoCがあると聞いて参加しました」ときっかけを話します。「導入したのは、原綿から糸を作る工場のネック工程です。これまでは、数十台ある機械の資源ガントチャートを印刷して、現場に配っていました。それが各自の手元で見ることができるようになりました。MESのチャートより見やすく、スッキリしています。作業バーで文字が重なる問題に対しては、選択した箇所を、縦の表で拡大して示す機能が気に入りました」とのこと。「実績入力について、スマホのようなクリック、スワイプの操作でできるようになるといい」と要望を語りました。


(了)


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