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アリアケジャパン株式会社 様

アリアケジャパン株式会社 様

アリアケジャパン株式会社 属人化し、手作業に頼っていた食品製造の生産計画の立案を一新。見える化により、工場全体に貢献するイノベーションを創出。
天然調味料および加工食品の製造、販売を手がけるアリアケジャパン株式会社(以下、アリアケジャパン)では、需要変動が大きく、予測のむずかしい生産計画を限られたベテラン社員が立案していました。今回、旧態依然としていた生産計画の立案を自動化し、生産効率を高めるために生産スケジューラ「Asprova APS」(以下、Asprova)を導入されました。アリアケジャパンの課題とAsprova導入の経緯と効果についてアリアケジャパン株式会社 九州工場 生産管理部 生産管理課 課長代理 濱田剛氏と、導入をサポートされたNSW株式会社(以下、NSW) 福岡事業所 中野氏に詳しく伺いました。

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■アリアケジャパン株式会社 九州工場
■住所:長崎県北松浦郡佐々町小浦免字小浦浜1572-21
■設立:1966年6月
■資本金:70億9509万6千円
■従業員数:950人(2022年3月現在)
■事業内容:天然調味料、農畜産物、水産物の製造、加工、販売、輸出入

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アリアケジャパン株式会社九州工場では、2500品目に及ぶ調味料および加工食品を製造し、畜産系エキスを原料とした天然調味料では日本国内のトップシェアを持っています。

もくじ

 

■天然調味料の製造工程

 

-- 天然調味料をどのように製造しているか教えてください。

かつての食品製造は大量生産が中心でしたが、現在は本物志向、高付加価値が求められています。弊社では、天然素材を使って、厨房での調理工程を踏襲した本物志向の製造工程を採用しています。手間も時間もかかりますが、化学調味料では出せないコクや風味を出すことができます。また、抽出、加工、充填まで一貫して生産できる体制を構築しています。


それぞれの品目には製造工程を規定するレシピがあり、必ずレシピに従って製造することがルールとなっています。
アリアケジャパン株式会社

 

■アリアケジャパンの課題

 

-- 御社の生産計画の課題について教えてください。
食品製造は季節、需要などの変動要因が大きく、製品のライフサイクルが短いという特徴があります。また、食品は市場のニーズに敏感で新しい製品が次々に出るので、フットワーク良く製造を行う必要があります。需要予測は行っていますが、予測どおりにならないことも多く、生産設備の能力や納期を計算して、効率の良い生産計画を立案することが課題です。生産計画の立案および変更は、いわば列車の時刻表を改訂するような複雑な作業となります。 アリアケジャパン株式会社

これまでベテラン社員の経験によって生産計画を立案していましたが、業務の属人化と社員の高齢化が深刻な問題として浮かび上がってきました。従来は製造工程を一つずつ基幹システムに登録して生産計画を立案していましたので、日程や品目の変更を行うには登録した工程を一つずつ手作業で書き換える必要がありました。書き換える作業も大変ですが、書き換えた後のチェック作業がまた大変で、3,000件のデータで工程間の漏れがないかをマーカーを使ってチェックしていました。計画変更が多い時期には、一日中かかりきりです。

生産計画の立案が属人化していたため、交代できる人員がいませんでしたし、生産性の向上や効率の高さが求められる時代に手作業で生産計画を変更することも時代に合っていないと、常々感じていました。

 

■人まかせにせず、自らが導入
-- Asprovaをどのように導入されたかを教えてください。
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「生産工程の見える化により、さらなる改善ポイントが発見できました。」(濱田氏)
扱っている品目が約2500種類あり、生産数量の変動が大きいため、生産計画の立案は経験豊富なベテラン社員に頼っていました。ありがたいことに弊社の売上は右肩上がりでアップしていますが、売上が少なかった過去から売上が増えた現在まで生産計画に携わるスタッフの数は同じです。今後も売上を伸ばしていくためには、従来のやり方では限界が来ていると考えざるを得ませんでした。少子高齢化、労働人口の減少などの問題に直面している現在、計画立案のノウハウを脱属人化してITシステムに移植し、省力化することがどうしても必要だと考え、生産スケジューラの導入を決めました。

システム導入では、製造現場、生産管理、情報システムのメンバーとプロジェクトを立ち上げて導入するのが一般的ですが、過去に生産スケジューラの導入を試みたものの実装までたどり着くことができなかった経験から、今回は下準備を入念に整えた上で、NSW様のお力を借りて導入までの協働作業を行いました。システム開発部門とユーザー部門が別れている場合、現場から出るさまざまな要求を開発側に正確に伝えられるかが不安でした。中途半端なコミュニケーションでは、使えるツールができ上がらず、仕様変更の嵐となってしまうのではないかと思い、今回の導入では誰かにまかせるのではなく、現場を知っている私が自分事として導入しようと決めました。
しかし、生産スケジューラについては全くの素人なので、NSW様から直接Asprovaについて教えてもらい、課題をどうやってAsprovaで解決するかを一緒に考え、工場でAsprovaのスケジューラを開発するということを繰り返しました。もともとは生産スケジューラを使いこなすなんて無理なんじゃないかと思っていましたが、少しずつ課題のレベルを上げて取り組むうちにロジックの入力やメンテナンスができるようになりました。


最初に行ったことは、生産工程とさまざまな条件をマスター化して、工程間の紐付けを表現することでした。これにより、生産計画を立案するときに頭の中で行っていたことを見える化でき、手応えを感じました。そうやってAsprovaを自分で動かしながら、検討を重ねた結果、あまり欲張らずに難易度の低い工程から開発を進め、一つずつ成功体験を積み重ねていくやり方を取りました。スモールスタートですね。その過程では、開発したスケジューラを無料体験版で動かし、要求にマッチしているのかを何度も確認しました。


この試行錯誤の過程では、NSW様には大変に力を貸していただきました。自分事として導入すると決めたとは言え、始めは右も左もわからないような状態でしたから、NSW様にAsprovaの設定箇所や条件式について根気強く教えていただき、課題解決の方法を考え、実装し、テストするまでをサポートしていただきました。導入ありきではなく、時間をかけて課題解決の相談に乗っていただき、さまざまなアイデアを出していただいたことで導入が進みました。現場の要求を導入支援ベンダーに直接伝えられたのもスムーズに導入できた一因です。
-- NSW 中野氏のコメント
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「今回のように、ユーザーが自らAsprovaを理解して導入するやり方は中小企業に向いていると思います。」(中野氏)
通常の導入プロジェクトでは、スケジューラの要件定義から設定支援までを一連でお引き受けするケースが多いのですが、アリアケジャパン様は自らAsprovaの仕組みを理解された上でお使いになるという珍しいケースです。アリアケジャパン様が生徒さんで、弊社が家庭教師のような形でサポートさせていただきました。

今回の成功要因の一つは、現場をよくご存じの濱田様が先頭に立って導入を進められたことだと思います。通常は、ユーザー部門-システム開発部門-導入支援ベンダーというようにワンクッション入るので、現場の要望がうまく導入支援ベンダーまで伝わらないことがありますが、今回は現場が主導したため、現場のニーズに合っているかを徹底して検討することができました。

今回のケースでは、弊社の労力は通常の1/10程度で済んでいるので、コストを抑えてAsprovaを導入する際の一つの事例となるのではないかと思います。弊社に一通りおまかせいただくケースに比べると、立ち上がりの時間はかかるかも知れませんが、長い目で見ると発展するスピードが上がるのではないでしょうか。
-- 導入前にはどのような効果を考えられていましたか。
先ほどもお話ししたように、課題は属人化、高齢化、計画変更にかかる膨大な工数の3点です。生産スケジューラを導入することで、さらに以下の3点も実現したいと考えていました。
 1)初案の計画を立案した後の修正を減らしながら、ミスも予防できること
 2)見える化により、生産設備の持つ能力をさらに引き出すスケジューリングができること
 3)シミュレーションを兼ねた計画変更を、繰り返し高速で実行できること

導入してみて、まず感じたのは生産計画の変更が素早く、簡単に行えることです。以前は、膨大な手作業で対応していた生産計画の変更を生産スケジューラは愚痴一つ言わずやってくれます。しかもミスがありません。また、生産工程を変えるとどうなるかというシミュレーションにも使えるので、生産工場の選定も的確に判断できるようになりました。


先行導入した部門では、計画立案後の変更が非常に多く、スピーディーな計画変更が不可欠です。計画立案にAsprovaを導入した結果、生産量を過去の実績換算で16%アップできました。また、製造部門2部門の管理者の工数を年間約500時間削減し、生産計画立案担当の工数は43%削減でき、大きな成果が出ました。さらに生産計画を見える化したことから、波及効果として年間1,000万円のコストダウンを行うことができました。
-- 導入時にあたってどのような工夫をされましたか。
アリアケジャパン株式会社
「生産スケジューラの導入で、工場全体の見直しができるようになりました」(濱田氏)
現場で使ってもらうために使い勝手を良くすることを心がけました。Asprovaに直接データを入力するのではなく、使い慣れたExcelと同じ使い勝手にして、オーダーや条件の登録を効率化しています。

社内に対してもあらかじめ生産スケジューラの導入のメリットはアナウンスしていましたので、スムーズに導入できたと思います。実際に製造現場では、管理者と計画立案担当の工数が削減できましたし、従来であれば生産調整は製造現場にまかせきりでしたが、生産管理で引き取ることができるようになりました。

 

■工場に眠るお宝

 

-- 生産工程の改善以外に気付かれたことはありましたか。

Asprova導入の過程で一つずつ成功体験を積み重ねていくと、単に生産工程を改善するだけではなく、もっと効率良く生産を行う方法があるのではないかと、工場全体を見直すきっかけになりました。

今回、先行導入した製造現場では成果を出すことができましたが、工場全体で見ればビジネスインテリジェント(BI)ツールの導入率はまだ高くありませんし、生産スケジューラの導入もこれからです。逆の見方をすれば、工場には改善すべきお宝が眠っていることがわかってきました。

現在の日本は、少子高齢化、労働人口の減少、働き方改革などの問題に直面しています。こういった時代にはかつてのようなマンパワー頼みのやり方は通用しません。スケジューラ、BIツールなどを活用して、労働時間を削減し、浮いた時間をイノベーションに充てることが会社を一層発展させるために重要です。例えば、生産計画の変更が多い現場では、管理職が計画変更に忙殺され、本来の管理業務に手が回っていませんでした。生産スケジューラで計画変更を効率化し、管理職が本来取り組むべき問題を解決することが会社の発展につながります。探せば、同様のことはたくさん見つかると思います。もともと弊社には業務改善に取り組むマインドがあり、年間8,000件を超える改善活動が行われていますので、生産スケジューラなどのツールを使った改善活動で旧来のやり方を改革し、創り出した時間をTime for Innovationとして使えば、さらに効率の良い生産が可能になります。

 

■今後に向けて

 

-- アスプローバ社への要望や期待があれば、教えてください。

リスケジュールの際に過去の割付結果から最も多く使った生産設備に自動的に割り付けられる機能があると、計画変更の際に便利です。また、生産計画だけでなく、作業テーブルにはいろいろなデータが集まるので、このデータを使って生産性を向上させるロジックを構築できる機能が追加されることを期待しています。

これは私の理解不足かも知れませんが、ボトルネック工程の効率を最大限にするため、ボトルネック工程に空きが見つかったら空いた場所に素早く割り付けしたいのですが、まだ実現できていません。ボトルネック工程を活用できる割り付け方法があれば、お教えいただきたいと思います。

-- Asprovaの導入を検討されている方にアドバイスがありましたら、お聞かせください。
弊社にとって生産スケジューラの導入は、長年の悲願でした。必要性は十分に認識していても、難度が高いため、机上のプランとして埋もれており、旧態依然の生産計画立案が業務の大半を占めるような状態が続いていました。今回は、Asprovaの導入支援ベンダーとタッグを組み、自分で機能を確かめた上で、スモールスタートで始め、成功体験を積み重ねたことが功を奏したと思います。弊社の取り組みが食品製造業をはじめとする製造業の発展に寄与できれば、幸いです。 ariake_member_03
 

* 取材日時 2022年3月7日
* 記載の担当部署は、取材時の組織名です。