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藤倉化成株式会社 様

藤倉化成株式会社 様

リスケジュール時間が1回半日から数秒へ、迅速な計画立案・変更が可能に
業務部門、営業部門と製造現場で情報共有
SAP導入とともにスケジューラ再立上げ成功!



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同社は1938年9月に藤倉工業株式会社(現藤倉ゴム工業株式会社)から藤倉化学工業株式会社として分離独立、1958年12月に藤倉化成株式会社と社名を改称し現在に至る。自動車、建材、エレクトロニクス、複写機、粘・接着剤等さまざまな市場に製品を供給している。 特にスペシャリティコーティング剤及びファインケミカル製品は、他で作れない高付加価値製品として市場において高く評価されている。

2008年に佐野事業所の3つの部門でAsprovaを導入することとなった。ところがそのうち実際に運用したのは水系工場の1本のみ。その後ERP導入を機に再立上げし、今では5工場でAsprovaを有効に活用している。

当初なぜ定着しなかったのか、また再立上げ時の工夫点や留意した点を佐野事業所 生産二部 塗料生産管理課 森戸浩行氏、情報システム部長 吉永純明氏、情報システム部 システム課 課長 伊東正晴氏にお話を伺った。

藤倉化成株式会社 藤倉化成株式会社
 ■本社所在地:東京都港区芝公園2-6-15黒龍芝公園ビル
 ■設立: 1938年9月22日
 ■資本金: 5,352百万円(平成27年5月現在)
 ■売上高(連結):69,560百万円 (平成27年3月期連結)
 ■事業内容:プラスチック用コーティング材、建築用塗料、電子材料、機能材料、化成品の製造

■導入目的

 ●計画立案時間の削減、立案作業の負荷軽減
 ●各部門間での現場の製造状況の共有
 ●半製品と製品オーダ紐付け自動化

森戸氏の所属する佐野事業所 生産二部では塗料(コーティング材)を製造している。藤倉化成のプラスチックコーティング材は、昭和43年(1968年)自動車ラジエーターグリル(ABS樹脂)への採用を機に、その用途が飛躍的に拡大した。以来、同社はプラスチックコーティング材のトップメーカーとしての評価を得ると共に、同社製品は幅広い分野で採用されている。とりわけ自動車業界では、その機能性と意匠性が高く評価され、内外装部品のプラスチック部分に数多く採用されている。

製品数は数千品目にも上り、人手での計画は非常に困難な状況である。 Asprova導入前に使用していた他社製スケジューラでは同社の仕様に合わせカスタマイズしており、ライセンスの十倍以上のカスタマイズ費用が掛かっていた。その部門での仕様には合致していたが他部門にそのまま適用するのは難しいことと、 2008年にサポートが切れるため、そのタイミングで別のスケジューラの導入を検討した。
検討当時、週単位の計画立案のほか、日単位での計画変更があり、原料の発注も2,3日単位で変更があった。Asprova導入の決め手の一つとしては、高速でリスケジュールできるという点も大きかった。

また、当初は計画時間短縮のみでなく日単位の計画を時間単位に変更することも目的の一つだった。そのことは次に述べるように設定や運用の複雑さにつながり運用が定着しない原因にもなってしまった。
SAP導入とともに使い方をシンプルにしたことで運用が定着した。
■初回導入時なぜすぐ運用されなかったか

スケジューラを適用している工程は仕込工程で、タンク設備を使用している。タンクを使用する製造業では、どの順番で何を造れば効率が良いか、どの容量のタンクでどの品目の仕込をすれば良いか、というタンク繰りについては頭を悩ますところだ。一方では1個何秒、何分という考え方ではない為、何時何分から仕込を始めて何時までという考え方では現場で作業しにくい。Asprova導入当初は仕込工程も時間単位で指示を出していたが運用されず、再立上げ時には1日に多くても2バッチ(2回仕込)というように指示の出し方を変更した。

またAsprovaはMRPの機能も持っているので、 2008年導入時は原料や半製品の所要量計算もAsprovaを使おうと試みた。その他にも年に1回の事象も、せっかく機能があるならばと自動化を試みたため、設定が複雑になりすぎメンテナンスが困難になってしまった。
■再立上げ時工夫した点

SAP導入検討時にSAPの生産計画機能が弱い事が分かり、 「生産スケジューラ機能をSAPの外部システムに持たせたほうがよい」という声があがった。そこで1度挫折をしたAsprovaを再度検討することにした。(吉永氏)

SAPでは中身(仕込後の釜の中身)と入目(充填後の製品)はコードを分けて登録しているが、どの中身とどの入目が紐付いているかSAPでは判断が困難なため、紐付けができるAsprovaを再立ち上げすることに決まった。今回SAPと連携するにあたり、MRPはSAPで回し、Asprovaはスケジューリングのみと役割分担した。導入支援はSAPとのインターフェース部分を(株)日立ソリューションズが、Asprova側の設定をクラボウが担当した。
「マスタはSAPからインポートするようにし、Asprova側でのメンテナンスを簡単にするように工夫しました。」(伊東氏)というようにシンプルな使い方を意識し、仕込工程内でも実際には分散、撹拌など複数工程に分かれているのを指示を出す単位で1つにまとめ、複雑さを減らし運用しやすくした。
「試作品もAsprova内部でダミー品番を使って指図を作りSAPには戻さないようするなど工夫しました。」(森戸氏)

藤倉化成株式会社
■導入の効果と今後の展望

まず処理速度が大きく改善された。1回半日位かかっていたリスケジュール時間が数秒となり、計画時間は調整も含め日に1~2時間となった。また、業務、営業と他部門にもいつ製品ができるかが共有できるようになった点も大きいという。
次は外注に委託している生産品も管理、情報共有を進めていきたいとのこと。 


※ 取材日 2015年6月3日

■導入頂いたお客様

藤倉化成株式会社  情報システム部長 吉永氏(左)
 システム課 課長 伊東氏(右)
 佐野事業所 生産二部 塗料生産管理課 森戸氏(中)
導入担当販売パートナー
藤倉化成株式会社  株式会社日立ソリューションズ
 産業イノベーション事業部
 産業ソリューション本部
 第4部 冨 秀行氏
藤倉化成株式会社  クラボウ
 情報システム営業部
 課長 高山真一氏