瓜生製作株式会社 様
瓜生製作株式会社 様
“手書き”による計画作成の効率化を目指してAsprovaを導入、
柔軟性のある計画作業や現場の作業効率アップに大きな効果
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瓜生製作様は、主として自動車工業や電気機械工業などの産業用向けの空気圧・電動工具を製造・販売する会社である。主な製品としては、ボルトやナットの締め付け/取り外しを行なうオイルパルスレンチ、研削/磨き用のグラインダ、穴あけ/タッピング用のドリルなどがある。その活動の歴史は古く、1915年(大正4年)に創業され、その後1921年に株式会社となった。 1999年、同社は基幹業務システムをERPシステムに刷新する大規模プロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトの中には生産管理システムの導入も盛り込まれており、検討項目の一つとして、手作業で行なっていた「工場の稼働計画作りの効率化」があった。この課題に対する解決方法がAsprovaだった。課題の詳細やAsprova導入の効果について、当時生産管理部でプロジェクトリーダーだった生産担当の南田取締役、さらに現在Asprova で製造計画を作られている奈良製造部 奈良機械課 係長の山本和彦氏、増井隆信氏にお話を伺った。 |
瓜生製作株式会社 ■住所: 大阪市東成区深江南 1-2-11 ■設立: 1921年4月 ■資本金: 8258万1700円 ■売上高: 84億8000万円(2006年度) ■従業員数: 362名(2006年4月現在) ■事業内容: 空気圧・電動工具および関連機器の製造・販売 |
■“手書き計画”の課題を抜本的に解決するため、Asprovaを導入 |
冒頭で少し触れたように、奈良工場ではそれまで工場の稼働計画を手作業で作っていた。手元に加工図面が来た時点で、各工程の責任者が“頭の中”で作業順序を組み立て、実際の作業計画を手で書いて、自工程の各機械に割り付けていたのだ。しかし人手で計画を作っていくため多くの時間がかかることになり、「小日程計画」の実現方法が検討されていた。 また工場全体の稼働計画の調整は、月一回の進捗会議で行なわれていた。この場では各工程の責任者ごとに自工程の「納期回答」を出してもらい、その後に全体の工程を集約してまとめ管理する必要があった。この時の課題を、奈良製造部 奈良機械課 係長の山本和彦氏は、次のように語る。 | |
「当時は手作業で計画が作られていたため、図面が何十点、何百点となった場合、会議までに全ての納期を見積もることは非常に難しかったのです。納期回答までの時間も、結構かかっていました」さらに各工程のスケジュール調整がうまくできていなければ、実際の作業現場では「指示待ち」といった状態が発生することになり、またイレギュラー対応の製品が割り込んできた場合には、生産管理部の人間が、工場内の各工程間を走り回って作業調整を行なう必要があった。 手書きでの稼働計画作りは、その作業自体の非効率さだけでなく、工程全体の管理や現場の実作業といった場面でも、大きなロスを生じさせていたのだ。こうした課題を解決するために同社が注目したのが、Asprovaだった。 |
■Asprovaの利用にあたっては、マスターデータの重要性を痛感 |
Asprovaの導入プロジェクトは、ERPシステムの導入という全社プロジェクトの一環として1999年9月に始まった。2000年10月には、第一段階として販売管理モジュールと、Asprovaを含む生産管理システムが稼働を開始、そして2006年4月には会計管理モジュールが、同10月には購買管理モジュールが立ち上がっている。 同社は、ERPシステムとして日立製作所の「GEMPLANET」を選択したが、生産管理システムについては現場での使いやすさを考慮し、日立情報制御ソリューションズの製造業向け生産管理システム「BOSSPLAN」を選択した。スケジューラとしては「BOSSPLAN」と親和性の高いAsprovaが採用された。システムの移行はビックバン方式で行われ、旧システムから新システムへの切り替えは期日を決めて一気に行われた。 BOSSPLANとAsprovaの連携の仕組みは、BOSSPLANにマスターとして登録されている「各部品や製品の加工順序」や「資源データ」、「加工部品の受注データ」などをAsprovaに取り込み、生産計画を作る、というものだ。 生産管理システムと連携するAsprovaの導入によって、稼働計画の作成を効率化できる仕組みは完成したが、実際にAsprovaが期待通りに機能し始めるまでには、さらに1年を要することになったという。その原因について、当時生産管理プロジェクトリーダーを担当した南田取締役は、次のように振り返る。 「やはり一番大きな問題だったのは、生産管理システムに登録されていたマスターデータの“曖昧さ”でした。マスターについては、過去のホストコンピュータ時代のものをベースにしたのですが、Asprovaの要求するマスターはもっと精度の高いものです。両者で使われるマスターは似て非なるものでした」。 | |
ホストコンピュータ時代のマスターで作られていた作業指示書はかなりラフなもので、データ精度が低く、現場の実情と合わないものが散在していた。しかしその場合でも、人間が介在して不都合の対処をすることにより何とか運用ができていた。そのためAsprovaの導入時には、ホストコンピュータに登録されているマスターをそのまま移行したために、現場の実運用に合わないスケジュール結果も含まれることになった。 仮に加工時間として登録されたマスターデータと、現場で実際に必要な加工時間が合致していなければ、マスターを元にAsprovaで高い精度で稼働計画を立てても、実運用では狂ってしまう。 こうした状況に直面して、本稼働後に、2回、3回と繰り返しマスターデータの修正を行い、その精度を徹底的に高めていったという。 |
■Asprovaの活用で、柔軟性のある計画作成や作業者の効率アップが実現 |
導入後の1年間は、思うようにAsprovaを使いこなすことができなかった同社だが、現在、奈良工場では、Asprovaを有効活用している。 新システム導入前には、紙をベースとした管理であり、在庫実態が曖昧となっていた。その結果、作業の投入計画に関する判断の誤りを誘う事態も多発していた。 また、ホストコンピュータで現場が要求するデータを出力しようとすると、ホストコンピュータの知識が必要となり、現場担当者には手を出しにくい状況があった。さらにホストコンピュータのレスポンスは遅く、要求するデータを出したいとしても出てきたときには用なしになっていた。 新システム導入後は、リスケジュールは毎朝実行されている。スケジュール対象としている期間:9ヶ月、対象となる作業数:26000ジョブ、この大量な作業割り付けを、日々発生する状況の変化を取り込んだ上で処理するのだ。しかも、スケジュールに要する時間はわずか5分である。導入前の生産計画は月1回、多くの人手を要して手書きで処理され、イレギュラーな状況変化に対応することが困難な状況であったことを考えると格段の進歩である。 さらにホストの時代と違い、スケジュールに関するロジックの作り込みがホストの知識無しで実行できるようになり、現場の要望が簡単に盛り込むことができるようになった効果も大きい。 また現在は山本氏を含め、奈良機械課の2名がAsprovaを使って稼働計画を作成しているが、山本氏は「現場の 端末画面で作業手順が確認できるので、上長の指示がなくても作業を進めることが可能になった」と、「指示待ち」時間の削除や作業者の自発的な取り組みといった効果を評価する。 納期についても、Asprovaで作成した計画表に各工程の日付が明記されており、また工場全体のモノの流れも非常に見えやすくなったという。南田取締役もAsprovaの大きな導入効果として、「工場の管理レベルの向上」を挙げた。 この他、Asprovaを含めた生産管理システムの導入や販売管理システムとの連携による効果としては、「在庫量の削減」が挙げられる。導入前、月間売上高5億円の時にでも、棚卸資産として約38億円分あったものが、月間売上高が7億円強と増加した現在では逆に18~19億円まで減ってきているという。 この在庫の削減について、南田取締役は「システム導入によって“ムダな在庫”が見えるようになり、不要在庫を処分したことによる効果も含まれている」と語り、一連のシステム導入による「見える化」の効果も強調して最後を締めくくった。 |
■お客様の声 |
当時、手作業による稼働計画の作成には多くの時間がかかっており、また納期回答をする場合にも、返事が遅れがちになったり、あるいは曖昧な答えしかできませんでした。そこで稼働計画の精度と効率を高めるために、Asprovaの導入を考えました。 | |
奈良製造部 係長 山本 和彦氏 |
奈良製造部 係長 増井 隆信氏 |