キャッシュフロー
企業は、企業の血といえる現金の流れを強くすることが大切で、SCMは金の流れのスピードを上げることができる。
キャッシュフローは資金の流れを指す言葉で、会計原則ではキャッシュフローを通常の期間利益を基準にして、減価償却費や売掛・買掛が計上された発生ベースの損益からキャッシュフローを調整する。売上金額のすべてがキャッシュで入金されるわけではないから、売掛金分を控除しなくてはならないし、同様に材料仕入も同じことがいえる。減価償却費などもキャッシュベースの支払がなくても経費として発生し、期間の損益計算に反映させる。
サプライチェーンマネジメントの巧拙は、期間利益として会計上算出される利益ではなく、スループットをキャッシュベースで評価することで決まってくる。すなわち、キャッシュを生むスループットをサプライチェーン上の制約の管理と、オペレーションの同期化によって定義する。したがって、サプライチェーンマネジメント上のキャッシュフローは、売掛金や買掛金などを調整するほどの厳密性は必要ない。というのは、サプライチェーンマネジメントの対象に、債権回収管理などは入れないほうがいいからである。あくまでも売上に計上するものはそのままキャッシュとみて、仕入の原材料費もキャッシュベースで仮定する。期間利益とキャッシュフローが大きく異なるのは発生ベースと支払ベースの時差もあるが、売上原価という在庫調整分のコストを反映させないで、あくまでも原材料の仕入コストと工場および本社・支店の支払ベースの経費とみなす点にある。最も重要な点は、仕掛品在庫・製品在庫の中に、人件費や減価償却費などの経費が資産としてみなされ、利益として計上される操作を排除することである。
もちろん売掛金管理や買掛金管理はキャッシュフロー経営のための重要なマネジメントであるが、サプライチェーンマネジメントは物の流れの同期化に焦点を当てたキャッシュフローのマネジメントである。