情報システム要件と将来
情報技術の応用システムとしてサプライチェーンマネジメントを利用するには、企業収益を改善するセンスやノウハウ、情報システムを有効に活用するスキルが必要になる。
情報のアプリケーションシステムとしてサプライチェーンプランニングシステムが企業の収益性を向上させる判断業務をサポートするためには、いくつかの要件が必要となる。たとえば、リードタイムを短縮しスループットを上げる同期化のためには、月次計画、週次計画のようなタイムバケットに基づく計画ではなく、連続的に変化する経営状況の現状のデータに合わせた、タイムバケットのない連続的な計画が必要である。
そのためには、過去と現状のデータをもつ実行系の分析システムと、データベースやデータウェアハウスおよびプランニングシステムが統合される必要がある。また、現状のサプライチェーンの能力や、材料の制約がコンストレイントベースにモデリングされることも必要である。さらに、資材調達から生産・流通・販売までのビジネスプロセス間で情報が共有化され、時間がかかる順次計画ではなく、全体が同時に計画できるコンカレントプランニングが必要である。そして、プランナーの経験が、コンピュータとインタラクティブ(双方向)で最適に指向のできる機能が必要になってくる。
これらの要件を考えると、現在のERPベンダー、SCMベンダー、データベースベンダー、そしてデータウェアハウスなどの情報技術はすべてサプライチェーンマネジメントにつながってくる。将来のサプライチェーンマネジメントを情報技術として利用するには、事業分析と改善のためのビジネスモデルの開発や、早期にサプライチェーンの事業収益を改善するシステムを立上げるセンスやノウハウなど、情報システムを有効に活用するアーキテクチャのスキルが要求される。同時にサプライチェーンマネジメントにおいても、次世代のモデルが二一世紀にかけて開発されていくと思われる。
ロケットや自動車などの機械系の制御システムと比較すれば、ビジネス系の制御系であるサプライチェーンマネジメントシステムは、進化途上にある。生産工程・購買・販売・会計などがデータとして統合化されつつある次世代ERPは、モデリングのための計測技術が進化しつつあるシステムということができる。