LPST(最遅可能開始日)/EPST(最早可能開始日)

資材や設備、人が揃ったときにオペレーションを開始する時間を決める計画をEPST。また、オーダーに対して在庫期間を最小にする計画を立てる時間をLPSTといい、サプライチェーンの最適なプランはEPSTとLPSTの中間にある。


 サプライチェーンのオペレーションを開始するには、材料(マテリアル)とリソース(設備や人)が利用可能になっていることが必要である。材料とリソースが利用できるようになった時点で、最も早くそのリソースのオペレーションを開始するプランをEPSTという。
 また、納期の決められたオーダーに対して、納期よりかなり前に製品が完成するようなオペレーション計画では、製品出荷までに在庫として保管する期間が長くなる。そのため、ギリギリまで待ってスタートし、在庫の期間を最小にするオペレーション計画を立てる必要がある。ギリギリどこまで待って、オペレーションが開始できるかを計画する時間をLPSTという。
 EPSTでは、製品在庫や下流工程の仕掛在庫など、バリューチェーン上で付加価値のついた在庫が増え、LPSTでは製品完了と同時に出荷するため、在庫が最小になる。
 LPSTはジャストインタイムの計画であり、材料供給の上流工程までサプライチェーンを広げリソースの能力が無限であれば、無在庫でリードタイム最小のシンクロナイズドオペレーションを作り出すことができる。これは「流れ」を作るシステムであり、リソースの稼動率よりもスピードを重視する経営である。また、生産計画における能力無限という理想的前提に立ったMRPの考え方も、LPSTに基づいて需要や納期の面から逆方向に資材調達や生産計画を立てる。ところが、実際にはオペレーションの能力に制約があるために、LPSTのみで計画は立てられない。
 EPSTは、「できるときには前倒しでやっておこう」という、コンセプトである。また、「今日できることは翌日に延ばさない」という、ポリシーである。翌日になると、どんなオーダーが入ってくるかわからない。今、あるオーダーを確実にこなしておけば、翌日のリソースに余裕ができて、新しい仕事がとれるかもしれない。しかし、在庫は貯まる。
 制約ベースでの最適なプランは、LPSTとEPSTの中間に存在する。