プランニングエンジン
サプライチェーンマネジメントソフトの別名で、サプライチェーンをオペレーションするエンジン。エンジンは、サプライチェーンの制約ベースの駆動系として、需要に対応するサプライの実行計画を即時的に生成できる。
SCMソフトは、別名プランニングエンジンともいわれる。ビジネスプロセスまたはサプライチェーンのオペレーションを車のオペレーションに喩えれば、サプライチェーン(SCM)ソフトはオペレーションを駆動するエンジンともなる。それに対して、購買、在庫、販売、生産の実行系をモニターする分析システムは、ボディに喩えることができる。
プランニングエンジンの入出力は、デマンドリクエスト(需要要求)をサプライプロミス(供給確認)に変換する機能をもつ。デマンドリクエストとは、販売計画または受注生産における実オーダーである。サプライプロミスは納入計画、さらに逆のぼって資材調達、生産・物流計画であり、納期回答である。すなわち、「何をいつ、どこに、どれだけ必要か」という後工程の需要に基づいて、「何をいつ、どこで、どんな方法で買うか、作るか、配送するか」という、前工程におけるサプライ計画を作ることである。
このエンジンの特性またはダイナミックスは、サプライチェーンのコンストレイント(制約)ベースの能力であり、それは現状の資材や入荷予定の資材である。これら現実のデマンド(需要)に狙いを定めて、サプライ(供給)の実行計画を即時的に生成するプランニングシステムが、プランニングエンジンの概念である。サプライチェーンのオペレーションが同期化(シンクロナイゼーション)するためには、デマンドとサプライという前後がすべて同期化する必要がある。ボトルネックのオペレーションに合わせて前方向、後方向のすべてのオペレーションを同期化させ、最後のオペレーションからボトルネックのオペレーションを含むすべてのラインについて、同期化するようなプランニングエンジンが必要である。
もちろん、人間のプランナーが介在することなくコンピュータの力だけで完全自動化のプランニングエンジンを作ることはおそらく不可能であるか、また将来の課題であろう。そこにはプランナーの経験と勘が、コンピュータとインタラクティブ(双方向)に生かされるような設計が必要である。
このようなプランニングエンジンが、プランニングサイクルタイムを短縮し(狙いを早く定める)、実行システムやトランザクションシステムというボディにビルトインされることで、スループットは飛躍的に向上するであろう。