CALS
デジタルデータに基づいたビジネスプロセス変革や国際規格や標準化などを総合的に利用し、より効果的な商品開発や商取引きおよび管理を可能とするビジネス戦略。
CALSの語源はコンピュータエイデット・ロジスティックサポート(コンピュータ支援ロジスティックス)から、コマース・アット・ライトスピード(光速商取引)までいろいろある。発信する人によってさまざまな思い(コンセプト)を言葉に含ませたい気持もわかるが、やはり一番最初の語源に敬意を払った方が新しいビジネスコンセプトとしてストレートに伝わってくる。CALSは、デジタルデータに基づいたビジネスプロセスの変革および国際規格や標準化などを総合的に利用することによって、より効果的な製品開発や商取引きおよび管理を可能とするグローバル市場におけるビジネス戦略の基盤であり、技術でも標準化でも道具でも製品でもない。
CALSをコンピュータ支援ロジスティックスとすれば、CAD(コンピュータ支援設計)、CAE(コンピュータ支援エンジニアリング)、CAM(コンピュータ支援製造)、CIM(コンピュータ統合製造)などの延長線上にあって、ビジネスプロセスを表現する言葉の前に「コンピュータ支援」が付いていて非常にわかりやすい。設計、エンジニアリング、製造、ロジスティックスなどはすべてビジネスプロセスの表現であり、それをコンピュータによって支援し、自動化によりリードタイムを短縮し、コストを削減することを目的にする。設計、エンジニアリング、製造に比べてロジスティックスは物流を含みながら、調達や製造などの機能も含む広い概念である。そのために、CALSは概念が拡張されて、企業間の取引活動を電子的に行なう決定的な方法論としてとらえられ、米国が世界の産業を支配する「黒船」になぞらえたりする説まである。しかしその目的とするところは、「二一世紀のマルチメディア企業社会」であったり、「新しい産業政策作り」であったり、コミュニケーションのための「技術インフラ」などのイメージが強い。
サプライチェーンマネジメントの狙うところは、これらの技術インフラの上に築く「キャッシュフローを上げる企業経営改善」であり、技術指向よりも経営指向である。サプライチェーンのリードタイムやサービスレベルの向上によるスループット改善のマネジメントは、企業収益力を上げる体質改善も含んでいる。