EDLP(毎日低価格)

サプライチェーンマネジメントを成功させる方法論の一つで、毎日が低価格で販売するということ。一時的にディスカウトするのではなく、年間を平準化した低価格にすれば、作る方も買う方もメリットが得られる。


 EDLP(エブリデーロープライス)は、毎日低価格という小売店の販促用語である。サプライのマネジメントは、デマンドのマネジメントと一体である。そしてEDLPは、米国の流通業でデマンドをマネージし、サプライチェーンマネジメントを成功させた方法論の一つである。
 販促手段の大きなものに価格政策がある。クリスマスキャンペーンや感謝祭など、季節毎の販促イベントがあり、期間限定の割引サービスをするのが、米国流通業界の伝統的手段である。クリスマスや感謝祭などトップスリーの販促イベント期間(三週間)の売上が、年間売上の八〇%を占めるようになると、販促キャンペーン期間の需要予測に基づいて何ヵ月も前から見込生産しなければならない。
 極端にいえば、クリスマスシーズンの需要分をその年の四月頃から作り貯めしておかなければ、生産能力の制約から需要に応じた供給ができないことになる。ところが、売れ残れば陳腐化商品としてその価値はなくなってしまう。また長期にわたる保管のために、品質が劣化することも多い。
 ところが、このような販促商品には、必ずしも季節性のないものが多い。それにもかかわらず、一時的な低価格という販促手段で大きな需要の山を作っても、サプライチェーンコストを高くするだけで、消費者のメリットは何もないのではないだろうか。陳腐化コストなどを計算に入れた価格設定がなされるわけで、その分消費者の負担が多いといえる。ディスカウントキャンペーンの売上が大部分を占めるなら、最初から年間を通して低価格にしておいても、トータルの売上(需要)高は変わらないのではないだろうか。それに需要が年間を通じて平準化すれば、製品も出荷したものを即売できるので、新鮮な製品で、保管費用もかからず、メーカーにとっても消費者や小売店にとっても、またサプライチェーン上の全関係者にもメリットがある。これは当り前のことで、コロンブスの卵のような話しだが、サプライチェーンマネジメントのコンセプトである全体最適の視点からみれば、EDLPは新しい革新的戦略である。
 この考えは、季節性があって一年以内に陳腐化しない製品であれば、需要を平準化するために、オフシーズンにディスカウントする政策と同じ考え方でもある。