独立変数/従属変数
サプライチェーンを構成するとき認識しておかなければならない独立変数と従属変数。その関係を認識することが、スループットを上げるキーとなる。
エリヤフ・ゴールドラットは、「TOC」(セオリーオブコンストレイント:制約理論)の中で、ボトルネックまたは制約についてシステムの独立変数とみなす数学的メタファ(比喩)があると述べている。つまり、従属変数とは独立して計画・決定できない変数であり、別の要因によって決まる。すなわち、他の変数(独立変数または従属変数)の関数として決まるというのである。このことは、生産工程上にボトルネックがある場合は、そのボトルネックの能力が販売数量を決定するし、輸送計画を決定してしまうということである。
この変数間の従属関係を知ることが、ボトルネックを認識・発見することである。よくある誤りは、サプライチェーン上での独立・従属の関係を認識しないで、それぞれのオペレーションを独立に計画・管理して、無駄な在庫を作り、スループットを落とすことである。
ところが現実には、ボトルネックとなる独立変数はごくわずかしかない。ゴールドラットは、シンボリックにそれは約〇・一%であり、九九・九%は非ボトルネックの従属変数であると述べている。その比率はそれほど意味をもたないが、サプライチェーン上のゴールであるメイクマネー、すなわちキャッシュフローを上げるために、キーとなる要因を分析することがボトルネックを発見するキーとなる。販売がボトルネックである場合、販売力の増大にすぐ手をつけなければいけないが、売上げ増になるまでの間に収益改善として手をつけなければならないのは、販売力に生産や資材調達を従属させることである。
つまり、楽観的な販売計画に基づいて生産計画を作るのではなく、需要が落ち込んでいるときには生産を調整しなければならないのである。このことは、従属変数であるべき非ボトルネックを独立変数として計画しては、いけないということである。
ここで注意しなければならないのは、ボトルネックは需要が変わったり、サプライチェーンの能力の変動によってダイナミックに変化するので、独立変数、従属変数の関係もダイナミックに変化すると考えておくことであろう。シンクロナイズのためには、スピードが必要である。