グローバルサプライチェーン
国内完結型のビジネスから国外を結んだビジネスが展開される時代になった。サプライチェーンの広がりが全世界につながっているとき、情報を共有し可能性を上げることで同期化が進む。
グローバル企業のサプライチェーンは、国内完結型から現地調査・生産・販売の完全現地化までの間で、多くのパターンの複雑なシステムとして運営される。このグローバルなサプライチェーンが一つの考え方でモデル化され、生産・販売の関係者全員が情報の共有化によって、可視性(ビジビリティ)を上げれば、サプライチェーンの作業計画は同期化されるし、それによって得られる財務上のメリットは計りしれないものになるであろう。なぜならサプライチェーンの広がりは、全世界レベルで時間とコスト面で最適な計画と実行モデルを提供するからである。それにより、米国の顧客の生産計画に合わせたパーツ納入を、米国の工場だけからではなく、日本国内の工場や東南アジアの工場の材料と能力が使える可能性、さらには輸送上のコストとリードタイムの制約などの無数なプランニングオプションの中から最適なものを選ぶことができることになる。
米国のパソコンメーカーヘパーツを納入する日本の半導体メーカーにとって、歴史的・伝統的に発展した取引形態からは思いもつかないようなサプライ計画が、SCM(サプライチェーンマネジメント)ソフトによって作成されるかもしれない。たとえば、すべてのパーツを日本経由で米国にある顧客の工場に送っていたものを、顧客の納入先に合わせてサプライチェーンを分割し、パーツ毎に、また納入先毎に異なるリードタイムで出荷することにより、顧客は低コストで調達できるようになる。設備や労働力の面でコストアップにならないオペレーションの組合せで出荷できるようにすることによって、スループットが二〇%上がるというようなプランが実現可能となるかもしれない。
国境を越えたグローバルサプライチェーンのモデリングは、その複雑性から考えて、どこまで詳細にモデル化するかという視点でのアプローチが不可欠であろう。ソフトの導入だけで実現可能なものではなく、サプライチェーンのオペレーションでいったいどんな意志決定が収益を生むのか、どこにボトルネックがあるのか、オペレーションのモデル化にあたって工場レベルのラフな能力でみるか、あるいは機械設備一台ずつ詳細にみるのかなど、戦略的判断が重要になる。
経済のグローバル化は、資本も、人の組織も、サプライチェーンを構成するオペレーションである拠点も全世界に広がる。
インターネット、EDI、CALSなどはグローバルなサプライチェーンで可能性を上げ、情報を共有する手段である。