制約起点のプランニング
ボトルネックのスピードに合わせて非ボトルネックの稼動率を決める制約起点のプランニングは、効率よりもスループットを増大させることを考えることが大切である。
ボトルネック(制約)起点のプランニングとは、制約のスピードに合わせて非ボトルネックの稼動率を決定することである。非ボトルネックの稼動率を決めるということは、非ボトルネックのアイドリング(非稼動)を許容し計画することである。アイドリング状態になるということは効率が落ちることになるが、効率よりもシンクロナイゼーションによるスループットを増大(流れを速くする)することの方が重要である。ハイキングのメタファでいえば、最も遅い少年を先頭にもってきて、全員がそのスピードに歩調を合わせることと同じである。
サプライチェーンでのオペレーションで、リソースがアイドリングになっても、経費である減価償却費や人件費が増えるわけでも減るわけでもない。逆にアイドリングになるのを回避しようとして、非ボトルネックの稼動率を上げるといたるところに在庫が貯まり、リードタイムが長くなり、スループットが落ちる。また経費も上がってくるし、在庫として滞留する時間の長さは品質にも悪影響を与える。
したがって、制約起点のプランニングを連続的プランニングとしてとらえ、それは実行システムのオペレーションの動きと一体化していなくてはならない。これは、制約起点のプランニングは独立変数から決定していき、その独立変数の値から自動的に非ボトルネックの変数が決定されることと同じである。
非ボトルネックを独立に計画してしまうと局部的な効率は上がるが、在庫が増えスループットを落としてしまう。通常の生産工場において、在庫として貯っている仕掛品や製品の三分の二は、スループットに関係ない「売れない製品」で占められている。
多くの制約ベースのプランニングソフトの計算理論も、制約ベースから他の全工程の稼働率を決定する理論といえる。