BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)

価値創造のためにビジネスプロセスをデザインし、エンジニアリング的な方法論でビジネスを再構築しようという手法。マイケル・ハマーが『リエンジニアリング革命』で紹介し、世界的に注目された。


 マイケル・ハマーの『リエンジニアリング革命』から脚光を浴びたBPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)。そこで使われている言葉はFUNDAMENTAL、RADICAL、DRAMATICなど過激なものであるが、経営とはミスマッチなエンジニアリングという用語を使うことで、経営体を金を生むマシンとしてのイメージをもたらした。
 サプライチェーンマネジメントの立場からBPRを考えると、サプライチェーン工程の同期化による在庫削減やスループットを向上させる方法は、リエンジニアリングを進める上で多くのヒントがある。従来、経営改善やベストプラクティスを探究するアイデアやヒントは、ベンチマーキングによって他から導入されていることが多い。
 ある意味でモノ真似から出発するわけである。ところが、モノ真似はモノ真似でも、現場レベルの業務をそのままコピーするのと、やや抽象化したレベルでその本質をとらえて真似をするのとは根本的に異なる。たとえば、一九五〇年代末に大野耐一氏によるトヨタ自動車のジャストインタイムのヒントになったのは、米国のスーパーマーケットでの商品棚の商品補充方式であった。これをモノ真似とみるか、高度なオリジナルな発想とみるか。モデルとか理論とか、コンセプトで表現されるものは、いくつかの事例の共通アナロジーから形成される。メタファが重視される理由は、そこにある。
 その意味から考えると、リエンジニアリングは新しいビジネスプラクティスを探究する改善活動の必要性に対しては大きなアジテーションになっているといえるが、発想するための思考プロセスに関する理論的支柱とはなっていない。むしろベンチマーキングなどの方が、具体的でわかりやすい。
 サプライチェーンマネジメントは、BPRのために外部から導入するベンチマーキングのような比較分析による具体的方法論と、理論的思考のワク組みを同時に提供する考え方でもある。
 BPRはまた、ERP導入のための業務の標準化にも使われる用語ともなっている。またビジネスの構造も、サプライチェーンという供給業務の連鎖としてとらえることで、設計論の基盤ができる。BPRもサプライチェーンの視点から発想することによって、地に足が着く。