アジャイルマニュファクチャリング
多品種少量生産でも大量生産と同じ効率を実現する製造手法。顧客満足度を上げるために、スピードを求めた製造手法であり、また米国製造業復活のキーワードであった。
米国の製造業復活のプロセスで、政府機関やMITなどの大学で「国際競争(特に日本など東南アジアとの)の課題は何か」という議論が、一九八〇年代に活発に行なわれた。
その中で生まれたのがアジャイルマニュファクチャリングで、それは、JIT(ジャストインタイム)やTQC(総合的品質管理)などとともに、顧客サービスのレベルを示すベストプラクティスのシンボルとして登場したコンセプトといってよい。アジャイル(俊敏)な製造とは、多品種少量生産でも大量生産と同じような効率とスピードを実現する生産手法である。そのためには段取り替も瞬時に行なえるような仕掛けが必要であり、生産工程も同期化によってスピーディに行なわれなければならない。したがって、ジャストインタイムは、アジャイルマニュファクチャリングのための一つのベストプラクティスである。
一九八〇年代の日本の製造業の研究から生まれ国際的に一般化したアジャイルマニュファクチャリングを、一九八〇年代のカーネギメロン大学フォレスター教授のサプライチェーンマネジメントと合体させ、コンピュータを利用したプランニングとマネジメントのための方法論として開花させたのはアメリカの創造性である。
「メイド・イン・アメリカ」とか「アメリカ合衆国株式会社」という言葉は、日本が「メイド・イン・ジャパン」や「日本株式会社」として官民一体となって経済を強くしてきたように、プラグマティズムの米国がとりあえず同じ戦略を打って出た時代の象徴である。
アジャイルマニュファクチャリングは、このような時代の流れの中で生まれた。そのコンセプトは、他の多くの製造業の復活運動と相互作用し、情報技術の応用分野の広がりとともに、多様で規模の大きい米国産業の中で、創発現象を引き起こしている印象がある。