ATP(納期回答)

注文を受け納入できる数量と納期を回答する、サプライチェーンメネジメントでの重要な概念。その決め方は、状況によりさまざまな方法とレベルがある。


 ATP(アベイラブルツープロミス:納期回答)の原語の意味は、「納入確約可能枠」とでもいえるが、通常の日本の製造業で使われる用語で一番意味が近い言葉は、「納期回答」であろう。すなわち、納入が確的できる数量と納期がATP情報として含まれる。現状の実需または見込需要に対して、材料と設備や労働力のリソースをどのように時間に対して割り振るか(計画するか)決定できれば、それは納期回答としてのベースとなる。
 リアルタイムATP(即時納期回答)とは、一つのオーダーデータ(仮需または引合)であっても、SCMソフトを使って即時にサブライチェーン上のオペレーション能力と材料在庫の制約に基づいてプランニングを実行することである。
 納期回答は、サプライチェーンマネジメントの重要な概念である。見込生産(MTS:メイクツーストック)で、製品在庫がある場合のATPは、製品在庫に対するオーダーの割り振りと、納入リードタイムの計算が必要になる。受注生産(MTO:メークツーオーダー)の場合は、利用可能な部品材料と、利用可能なリソース能力の制約範囲内での生産計画に基づいてリードタイムを決定し、ATPを決定する。
 寿司の出前を注文したとき、オーダーを受けた寿司職人は、そのネタ(材料)の有無、職人(リソース能力)の稼動状態、配達を自転車にするかバイク(リソース能力)にするかを瞬時に判断(情報処理)して、「一時間半後の午後七時三〇分」に「松コース五人前」というように、納期と数量の確約ATPを決定する。
 見込生産(MTS)から受注生産、その間にある受注組立(ATO:アセンブルツーオーダー)などの生産形態によって、ATPを計算するにはさまざまなレベルがある。たとえば、寿司の注文に対する納期回答は、理論的にはネタの仕入および魚獲するまでのリードタイムも含む。したがって、サプライチェーンマネジメントの対象であるオペレーションの能力と、材料の制約の中で、待ち時間やセットアップ時間などの在庫になる要因時間も含めたリードタイムを、計算することが必要である。
 なお、リアルタイム(即時的)なATPは、サプライチェーン上のデータベースが統合された連続的な計画によって可能となる。