製造プランニングとスケジューリング

時々刻々と変化する製造環境において、製造工程の行動計画は状況に合わせて変化・更新をしなければならない。スケジュールも同様に、状況に応じて作業計画する必要がある。


 サプライチェーンの主要な働きは、製造現場での加工や組立、検査のオペレーションである。それぞれの工程は、時々刻々変化するために、プランニングは固定的な行動計画ではなく、常に変化・更新が必要である。コンストレイントベースの製造プランニング、製造スケジューリングはサプライチェーンの主要なモジュールであり、同期生産を実現するソフトウェアである。制約を認識し、ボトルネックに合わせて他のオペレーションが同期化することで、無駄な仕掛在庫が滞留することなく、処理スピードに物の流れが合致する状態を作り出す。そのためには、工場内でのオペレーションのリズムを取るまでに、工程毎の作業計画が必要になる。
 サプライチェーンプランニングのコンピュータソフトは、あたかも体内に埋め込まれたペースメーカーのように、心臓の健康度と筋力の制約のもとで、全体のリズムが調和を保つように働らかねばならない。コンピュータから出される指示に従って人や機械が動く仕組みは、場合によってはある工程ではアイドリング状態(稼動しない)であることが、全体のために最適かもしれない。
 そのような同期生産が、何かの事故で乱れてもすぐに回復するような再計画の仕組みが、システムの中に組込まれている必要がある。同期生産が実現すると、在庫や経費が削減しリードタイムが短縮し、スループットが改善する。リードタイムが半分になるとボトルネックが生産側にある限り、原理的にスループットは二倍になり、人件費や減価償却費の固定費は生産数量に反比例するので、コスト二分の一を狙うことも可能となる。
 状況変化に即応する実現可能なプランは、MRPやCRPでは限界がある。もちろん、コンピュータソフトに頼らない方法で同期生産が可能かもしれないが、コンピュータによって作り出されるプランに従って、オペレーションすることがリズムを生むことになる。